制御データ取り込みに特化したIoTゲートウェイ「KES IoT Logic」が登場

 さまざまな分野で利用されている既設の制御機器からデータを直接収集できるIoTゲートウェイ「KES IoT Logic」が登場した。従来は把握できなかった稼働状況を可視化するなど、IoT化を推進する新しいソリューションとして注目されている。

小西 浩之氏

株式会社金沢エンジニアリングシステムズ

最高技術責任者 兼 開発部 部長

小西 浩之氏

源田 農氏

株式会社金沢エンジニアリングシステムズ

新規事業推進部 責任者

源田 農氏

組み込み系・制御系技術をIoTに活かす

 石川県金沢市に本社を置く金沢エンジニアリングシステムズは、民生家電品、産業機器、カーエレクトロニクスなど幅広い分野のソフトウェア開発をメインに事業展開する独立系ソフトウェアベンダー。1988年の創業以来、約30年にわたって石川県内に事業拠点を持つ地場企業を中心に国内の大手メーカー向けに組み込み系・制御系ソフトウェアを受託開発してきた。社員の大半がシステムエンジニアという技術者集団として、メーカー各社からの信頼も厚い。


 金沢エンジニアリングシステムズでは現在、これまでの経験によって培った技術の蓄積をベースに、自社ソリューションを提供する新規事業の推進に力を入れている。そうした新事業の一環として同社が注目したのが、IoTの分野だった。


 IoTビジネスに取り組むことにした理由は二つあるという。一つは、同社が得意とする組み込み系・制御系ソフトウェアの技術を活かせるという理由だ。
 「従来のIoTはセンサーを設置してデータを取得する、いわば外部からのアプローチが主流です。それに対し当社には、組み込み系・制御系ソフトウェア開発のノウハウがあり、各種機器を制御するPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)のデータを内部から直接取得することも可能です。こうした当社の技術を活かせると考え、2015年秋頃にIoTを新規事業の柱と位置づけて、ビジネスをスタートさせました」(新規事業推進部 源田 農氏)


 もう一つの理由は、IoTデバイス周辺のソリューションを提供するベンダーの数が非常に少ないためだ。
 「いまのIoT市場は、クラウド側のアプリケーションを開発するベンダーは多いものの、デバイス側を手掛けるベンダーが少ないという現状があります。そうした中、当社ではどこかの特定ベンダー向けではなく、誰でも使えるソリューションをIoT市場全体に向けて広く提供することを使命だと考えました」(開発部 小西浩之氏)

既存設備にアドオンできるIoTゲートウェイ

 2015年秋にIoTビジネスを本格化させた金沢エンジニアリングシステムズでは、それから約1年間をかけてさまざまなソリューションのアイデアを練っていたという。転機が訪れたのは、2016年末のこと。Microsoft Azureの新機能「IoT Edge SDK」を利用したIoTゲートウェイ開発の話を、日本マイクロソフトから持ち掛けられたことが契機となった。
 これをきっかけに、同社は制御機器のPLCからのデータ取り込みに特化させたIoTゲートウェイの開発に着手した。そして、わずか2カ月という短期間で完成させたのが「KES IoT Logic」だ。

KES IoT Logicの導入イメージ
KES IoT Logicの導入イメージ

 「PLCは生産設備やエレベーター、空調システムなど多種多様な機器に組み込まれています。そのPLCから詳細な制御データを直接収集・蓄積し、これまで把握できなかった稼働状況を可視化したり予知保全に活用したりできるようにするのが、KES IoT Logicです」(源田氏)
 その最大の特長は、既存の設備・機器にそのままアドオンできるということだ。KES IoT LogicがサポートするPLCは、国内外200機種以上。1台のIoTゲートウェイで最大5台のPLCに対応できるほか、冗長化構成も可能となっている。PLCメモリマップの設定などはWebブラウザ経由で容易に行え、有線・無線LANやモバイル回線など多彩な通信手段でデータを外部に送信できる。またAzure IoT Edgeの機能により、デバイスからクラウドへの一方通行だけでなく、クラウドからデバイスへの通信も可能だ。
 すでに太陽光発電事業者に導入されているほか、製造業の生産設備やビルエネルギー管理システム(BEMS)などの事例があるという。

太陽光発電事業者の導入例。PLCの遠隔制御と発電状況の可視化を実現した
太陽光発電事業者の導入例。PLCの遠隔制御と発電状況の可視化を実現した

 「2017年からは、IoTビジネスに豊富な実績を持つ東京エレクトロンデバイスに、商材の一つとして扱ってもらっています。今後は協業関係をさらに深め、さまざまなニーズに応えるIoTゲートウェイとして広く利用していただけるものと期待しています」(小西氏)