SORACOMのデータ転送支援サービスがAzure IoT Hubとの連携に対応

松井 基勝氏

株式会社ソラコム

シニアエンジニア

松井 基勝氏

IoTデバイスの処理をクラウドにオフロード

 ソラコムのIoT通信プラットフォーム「SORACOM」は、セルラー通信とLPWA(LoRaWAN、Sigfox)による接続サービス、およびクラウド上に構築されたコアネットワークを基盤に、クラウド連携、デバイス管理、セキュリティ強化などを一貫して提供するサービス。IoTシステムを迅速に構築・運用するために欠かせない通信機能として、すでに9,000ユーザーを超える企業に活用されている。
 そのSORACOMを構成するサービスの一つに「SORACOM Beam」がある。これはIoTデバイスとの送受信に必要な暗号化処理や接続先設定をSORACOMのクラウド上にオフロードするもの。限られたリソースのIoTデバイスに代わり、サーバとのデータ送受信をセキュアに行えるデータ転送支援サービスだ。
 「SORACOM Beamは、IoTデバイスから3G/LTEのセルラーネットワークを通じてデータを送信し、必要に応じてSORACOM側で暗号化処理をした上でインターネット回線を通じてサーバにデータをアップロードします。その他にも、送信先の設定や、認証の管理もすることができ、IoTデバイスのリソース制限により高負荷な処理が難しい場合でも、それらの処理をSORACOMの通信経路上で行うことで、安全に利用できます」(ソラコム シニアエンジニア 松井基勝氏)
 IoTデバイス側はデータの送信先をSORACOM Beamに固定しておくだけ。外部環境の変化によって接続先サーバを変更しなければならないときは、ユーザーコンソールを利用した簡単な操作で一括変更できる。従来のように、多数配備されたIoTデバイス一つひとつに再設定処理を行う必要はない。

迅速かつセキュアにAzureとの連携が可能に

 このような優れた機能を提供するSORACOM Beamが2018年1月、Azure IoT Hubに対応。マイクロソフト主催のIoTイベント「IoT in Action」で発表された。
 実はSORACOMは従来からAzureに対応しており、クラウドリソースアダプタ「SORACOM Funnel」を通じてAzure Event Hubsへセキュアにデータ送信する機能を備えている。しかしこれはデータのアップロードに対応する機能であり、クラウドからIoTデバイスへのダウンロードには使えない。
 そこで開発されたのが、SORACOM BeamのAzure IoT Hub対応の機能だ。

SORACOM Beam Azure IoT Hub対応
SORACOM Beam Azure IoT Hub対応

 「SORACOM BeamがAzure IoT Hubに対応したことで、Azure IoT device SDKを実装していないIoTデバイスでも、迅速かつセキュアにAzureと連携することが可能になりました。SORACOMのユーザーコンソール上で設定するだけで、IoTデバイスからAzure IoT Hubへデータを送信し、Cognitive ServicesなどのAzureサービスを活用したIoTシステムが構築できます。MQTTプロトコルを利用したIoTデバイスとサーバとの双方向データ通信もサポートするので、クラウドからIoTデバイスへのコマンド送信や設定変更も可能です」(松井氏)
 ちなみに今回の新機能を含むSORACOM Beamは、新規アカウントを対象に12カ月間1アカウントあたり毎月10万リクエストまでの無料利用枠が用意されている。本番環境で利用する場合も、日本国内向けSIMでは1リクエストあたりわずか0.0009円というリーズナブルな従量制課金体系になっている。
 IoT in Actionの展示会場では、東京エレクトロン デバイス(TED)が用意したIoTデバイスにSORACOM Air のSIMカードを装着し、SORACOM Beamを利用してAzure IoT Hubに接続するデモが行われていた。このサービスは、Azureを活用する各種IoTソリューションを展開しているTEDも注目しており、今後はセキュアなIoT通信が必要になるさまざまなソリューションに採用していく予定だ。

IoT in Actionの展示会場で行われていたデモ
IoT in Actionの展示会場で行われていたデモ