デジタル数字認識とIoTデータ活用基盤の開発に取り組むナレッジコミュニケーション

大柳 友洋氏

株式会社ナレッジコミュニケーション

ビジネスデベロップメント部

大柳 友洋氏

製造機器のIoT化を低コストで実現する

 さまざまな業種業界の企業でIoTシステムが活用される中、特に製造業では製造機器の稼働監視や生産ラインにおける品質検査などでIoTシステムの導入が進んでいる。製造機器をIoT化すると、定期的な巡回検査が不要になるなど監視作業を効率化・省力化できるほか、従来は取得していなかった多種多様なデータをリアルタイムに収集・分析して新たな知見を得たり、人為的な操作ミスや不正行為を防止したりといったさまざまなメリットが得られるからだ。
 しかし「製造機器をIoT化するハードルは、決して低いわけではない」とナレッジコミュニケーションの大柳 友洋氏は言う。
 「製造機器は外部との入出力インターフェイスは機器によって異なり、インターフェイスを備えていない機器もあります。また、ネットワークへの接続を想定していない機器が多く、センサーデバイスやIoTゲートウェイを設置するのにコストがかかります。このため、IoTシステムを導入したくてもできないというケースが少なくありません」
 こうした課題を解決する手段としてナレッジコミュニケーションが推奨しているのが、カメラと画像認識技術を使ったIoTシステムだ。
 「製造機器の多くは、デジタル数字を表示する制御盤を備えています。そのデジタル数字をUSBカメラで撮影し、画像認識を行います。画像認識処理は『Raspberry Pi』のようなエッジ側の小型コンピュータで実行し、機械学習を繰り返して認識精度を高めていきます。そして認識したデータは、Azure IoT Hubを経由してクラウド上のデータ収集・分析基盤に送ります。このIoTシステムは、汎用品を利用してコストを抑えながら構築できるというメリットがあります」

画像認識処理はエッジ、インフラはAzureに構築

 このカメラと画像認識技術によるIoTシステムを開発するために、ナレッジコミュニケーションが最も注力したのが機械学習モデルを構築することだった。そこで、オープンソースのライブラリ「Chainer」と手書き数字のデータセット「MNIST(Mixed National Institute of Standards and Technology database)」を使用して画像認識モデルを構築し、それをRaspberry Pi上で実行することにした。
 「訓練データを作成する際には、カメラで撮影した元画像を歪ませたものをランダムに生成して機械学習を繰り返しました。それに加えて製造機器のデジタル表示部の位置や明るさを調整するキャリブレーション機能を付加することにより、数字の画像認識精度を高めました」

USBカメラで撮影した画像からデジタル数字を画像認識
USBカメラで撮影した画像からデジタル数字を画像認識

 一方、Raspberry Piの認識結果はAzureに送り、IoT Hubで受けたデータをStream Analyticsでフィルタリング、振り分けしてデータベースに蓄積するとともに、PowerBIのダッシュボード上でリアルタイムに可視化できるようにした。さらにデータベースの値を定期的にビジネスチャットツール「Slack」へ送信してメッセージを表示する仕組みも作り上げた。
 「今回はオープンソースベースの数字認識モデルを構築し、データさえあればノンプログラミングで機械学習を実行できるようにしました。またインフラはすべてAzureに任せたため、構築コストや開発工数を削減できました。まさに当社のビジネスアイデアを動くものにできたと考えています」
 すでに多くの反響があり、ナレッジコミュニケーションでは製品化に向けた実地検証を繰り返しているという。コストと手間をかけずにIoTシステムを構築できるツールとして、今後の展開を期待したい。

IoTデータ活用基盤をAzure上に構築
IoTデータ活用基盤をAzure上に構築