長距離通信と複数デバイスの同時接続を実現するBluetoothルーターが登場

東京エレクトロン デバイス(TED)は2018年6月、米Cassia Networks社と販売代理店契約を結び、同社のBluetoothルーター製品2機種の販売を開始した。独自の無線処理技術により最大300メートルの長距離通信、最大40台のデバイス接続が可能となっており、身近な通信規格であるBluetooth Low Energy(BLE)を利用したIoTシステムの構築を実現するものと期待されている。

加藤勝広

東京エレクトロン デバイス株式会社

クラウドIoTカンパニー エンベデッドソリューション部

東日本営業推進グループ セールスプロフェッショナル

Cassia Networks 担当営業

加藤勝広

通信距離と接続台数に課題があるBluetooth

 Bluetoothといえば、スマートフォンやタブレット、ノートPCなどさまざまなデバイス間の短距離通信を実現する最も身近な無線通信規格の一つだ。とりわけ、Bluetooth 4.0以降のバージョンに低消費電力モードの「Bluetooth Low Energy(BLE)」が追加されてから普及が加速。現在はデジタル機器の出入力デバイス、ウェアラブル機器、スポーツ/フィットネス機器、医療機器、ビーコン、各種センサーなど、実に幅広い分野のデバイスに採用されている。

 BLEのメリットは、非常に小さい消費電力で通信できることと低コストであるという点だ。現在は短距離無線通信に特化させた使い方が中心で、主に周辺機器をケーブルレスで接続する用途に利用されている。

 しかし、TED クラウドIoTカンパニーの加藤勝広によると、IoTデバイスとゲートウェイを接続する用途にもBLEを応用したいという要望は増えつつあるとのことだ。

 「Bluetoothには、デバイス間の接続や取り回しが容易という特長があります。BLEデバイスをIoTで活用するには、これまではタブレットやスマートフォン経由でクラウド等の上位システムへ接続する使い方が一般的でした。そのため、タブレットやスマートフォンのBLEデバイス接続可能台数や通信可能距離といった仕様がそのままIoT活用の制約となっていました。BLEをIoTシステムに応用するには、BLEデバイスとゲートウェイの通信距離をいかに伸ばすか、1台のゲートウェイにどれだけ多くの台数を接続可能にするかという課題を解決しなければなりません」(加藤)

Cassia IoT アクセスコントローラ

 こうした課題を解決し、BLEデバイスを使ったIoTシステムの構築を実現したのが、米Cassia Networks社のBluetoothルーターだ。

 「このBluetoothルーターは、独自の無線処理技術によってBLEデバイスに特別な設定を行うことなく、見通しの良いところで最大300メートルの通信距離をサポートしています。また、1台のルーターに最大40台のBLEデバイスを接続できるという能力も備えています。SIMを内蔵したUSBドングルを使用すれば、3G/LTE回線経由で外部ネットワークに接続することも可能です」(加藤)

 ルーターはBLEプロトコルとIPプロトコルを相互変換するゲートウェイとして機能するため、複数のBLEデバイスからデータを収集するだけでなく、BLEデバイスに対するリモートアクセスも可能。「Cassia IoT アクセスコントローラ」というIoTネットワーク管理ツールを使えば、数百台のBluetoothルーター、数千台のBLEデバイスを導入して大規模なIoTシステムのBLEデバイスの監視、ローミング、位置検出をグラフィックユーザーインターフェースを用いて遠隔に実現できるという。

(図)Bluetoothルーターの導入構成イメージ
(図)Bluetoothルーターの導入構成イメージ

 今回、TEDが販売を開始したのは、屋外設置も可能な「Cassia X1000」と屋内専用の「Cassia E1000」の2機種。X1000は、BLEデバイスの接続台数が最大22台、給電方式がPower-over-Ethernet(PoE)に限られるが、JIS/IEC IP65規格に適合した防水・防塵性能を備えている。一方のE1000は、BLEデバイスの接続台数が最大40台、給電方式はPoEのほかにmicro USBをサポートする。

(写真)Cassia X1000とCassia E1000
(写真)Cassia X1000とCassia E1000

「両機種とも、提供するSDKを使うことにより、IoTアクセスコントローラと連携して動作するお客様独自のアプリケーションを開発頂くことが可能です。」(加藤)

  海外では病院内で持ち運んで利用する医療機器のアセットを、Bluetoothルーターを使って管理しているという導入事例があり、日本国内でも人や物の位置認識や導線認識の目的で引合いが多くあるという。既存のBLEデバイスを利用したIoTシステムを構築できるので、今後はさまざまな用途にBluetoothルーターが導入されることになるだろう。