Writer:安藤 隼人(アンドウ ハヤト)
Azureの3つのライセンス形態と料金 ~Azure CSPを利用するメリット~
企業での利用が増えているAzureですが、ライセンスが良くわからないという方も多いのではないでしょうか。
Azure利用のためのライセンスとして3つのライセンス形態が用意されており、それぞれ契約や支払条件、サポート条件などが異なります。ユーザーは、目的に応じてライセンスを選択する必要があります。
本コラムでは、複雑といわれるAzureの3種類のライセンス形態と料金、中でも企業にメリットが大きい「Azure CSP」についてフォーカスを当てて解説していきます。
目次
Azureのライセンス形態
Azureには「CSP」「EA」「オンラインサブスクリプション」の3つのライセンス形態があります。まずは、それぞれのライセンス形態の違いを表形式で確認しましょう。
CSP (Cloud Solution Provider) |
EA (Enterprise Agreement) |
オンライン サブスクリプション (MOSP) |
|
---|---|---|---|
契約対象 | 法人のみ | 法人のみ | すべての方(個人含む) |
最少契約数 | ユーザー数1以上 | ユーザー数500以上 | ユーザー数1以上 |
契約期間 | いつでも解約可能 | 3年間 | いつでも解約可能 |
支払方法 | 後払い (従量課金) |
前払い (年間コミット額あり) |
後払い:クレジットカードの登録が必要 (従量課金) |
請求書の発行 | 販売代理店 | 販売代理店 | マイクロソフト |
サポート | 販売代理店 | マイクロソフト | マイクロソフト |
再販可否 | 可能 | 不可能 | 不可能 |
それぞれのライセンスについての概要は、以下の通りです。
CSP
CSPは「Cloud Solution Provider」の略で、販売代理店を通してAzure製品を利用するライセンスです。従量課金制を採用しており、使用した分だけ料金を支払います。
従量課金で後払いが可能であることと、再販可能であることが最大の特徴です。契約した代理店から技術面その他のサポートが受けられるのも魅力的。反面、Azure製品を多く使用することになった場合、従量課金制が災いして、コストが膨らんでしまうことに注意が必要です。
CSPには多くのメリットがあります。詳細については後述します。
EA
EAは、「Enterprise Agreement」の略で、3年間の料金を事前に見積もって契約するプランです。ボリュームライセンスで契約できるため、会社規模での利用状況などの管理が容易になります。ただしライセンスの特性上、事前に使用量が明確に見積もれないシステムに関しては導入しにくく、また、購入前にはOffice 365などの製品においてもEAを締結する必要があるため、注意が必要です。
オンラインサブスクリプション(MOSP)
MOSPは、「Microsoft Online Subscription Program」の略で、読み方は「モスピー」です。3つのライセンスの中で唯一個人が利用でき、支払いは、Azureサブスクリプションを利用してクレジットカードで行います。ライセンスの追加は「Azure Portal」で簡単に実施可能で、最近の請求や内訳なども確認できます。
なお、個人で購入できるのは「オンラインサブスクリプション」のみですが、法人はすべてのライセンスが購入可能です。
Azure CSPを利用するメリット
Azure CSPを利用するメリットについて、ライセンス形態の項でも少し触れましたが、ここでは更に詳しくみていきましょう。
Azure CSPを利用するメリットの詳細は以下の通りです。
費用が後払いで使用した分のみの支払い
クラウドサービスの多くは、実際に運用するまでリソース使用量が明確になりません。そのため、費用前払いのライセンス形態の場合には、ある程度の余裕をもった使用量の見積もりに基づいたリソース予約を行うこととなり、結果的に予約したリソースが無駄になるということもあります。
費用が後払いであるCSPでは、クラウドサービスを使用した分だけ支払いをすれば良いので無駄が出にくく、利用者にとっては大きなメリットといえます。
MOSPも後払いはできますがどちらかといえば個人向けのライセンスであり、クレジットカードでの支払いが基本なので、企業が利用する場合にはCSPの方が向いていると言えるでしょう。
ライセンスの再販が可能
CSPライセンスは再販も可能なため、Azureに付加価値をつけたソリューションをエンドユーザーに対して販売することもできます。このような再販活動者を「リセラー」と呼びます。
Azureを活用したビジネスを考えたいという方は、この再販制度を利用すると良いでしょう。
ディストリビューターによる技術支援やビジネスサポート
CSPライセンスは契約するディストリビューターを選択するのですが、自社に合った技術力の高いディストリビューターを選択することで、Azureと連携して利用する製品やサービスについての適切な技術支援やビジネスサポートも併せて受けることができます。
ディストリビューターによって提供されるサポート内容は異なります。各社のサポート内容を調査し、自社に合ったディストリビューターを選択しましょう。
なお、東京エレクトロンデバイスは技術力の高さで選ばれているAzure CSPディストリビューターです。技術支援やビジネス支援の内容は「選ばれる理由」の記事で公開していますので、ぜひ一度ご覧ください。
Azure CSPの2つのビジネスモデル
先にAzure CSPライセンスは再販も可能と書きました。Azure CSPには2つのビジネスモデルがあります。
ダイレクトビジネスモデル
自社でAzureサービスを展開するモデルで、自社利用の他に、Azureを基盤とした自社のSaaSをエンドユーザーへ展開することを想定しています。
詳細は「自社のSaaSを提供したい|これからAzureを始めたい方」をご覧ください。
インダイレクトビジネスモデル
自社がリセラーとなり、エンドユーザー毎にAzureライセンスを再販してAzure環境を提供するモデルです。
詳細は「再販したい|これからAzureを始めたい方」をご覧ください。
リセラーは、Azureおよび業界や関連製品に知見があるパートナー企業(ディストリビューターなど)の協力を仰ぎながら、自社のビジネスモデルを長期的に育てていくことができます。
Azure CSPをユーザーとして使う方法
最後にAzure CSPをユーザーとして使う場合を見ていきましょう。Azure CSPライセンスを利用したいユーザーは、ディストリビューターに連絡して必要な手続きを踏むことでAzure CSPライセンスを利用できるようになります。
例えば東京エレクトロンデバイスをディストリビューターとしてご契約いただく場合、サービス開始までの手順は、大まかに次のような流れになります。
- クラウドサービス申込を東京エレクトロンデバイスへ連絡
- 東京エレクトロンデバイスからマイクロソフトアカウントをご連絡
- ユーザー様のサービス開始
Azure CSP以外の契約をAzure CSPに切り替えることもできます。詳細は「すでにAzureをご利用中でもCSP契約に変更可能」をご覧ください。
Azure の料金
Azureの利用は従量課金で、初期費用や解約手数料は必要ありません。例えば、仮想サーバーを利用した場合の料金は、仮想サーバーの実行時間とストレージのデータ量、ネットワークのアウトバウンド通信のデータ量で課金されます。
詳細は「Azureの価格」をご覧ください。
Azure CSPを使ってビジネスの加速を!
Azure利用には3つのライセンス形態がありますが、中でもAzure CSPには、費用が後払いであること、ライセンスが再販可能であること、ディストリビューターからAzureとの連携利用を前提とした技術支援やビジネスサポートを受けられることなど、企業にとって多くのメリットがあります。Azure とディストリビューターの支援をうまく活用し、自社ビジネスを加速しましょう。