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2021/3/12

Writer:安藤 隼人(アンドウ ハヤト)

Azure Cognitive Servicesとは?概要やメリット、サービス内容を解説

AIを利用して業務を効率化したいというニーズが増える一方、AIの知識がない、導入するための技術知識やコストのハードルが高いと考える方も多いのではないでしょうか。本コラムでは、そんな方向けにリリースされている「Azure Cognitive Services(以下、Cognitive Services)」をご紹介します。Cognitive Servicesは、Microsoftが提供するAIサービスで、AIの専門知識がなくても、言語、音声、視覚などの人間の認知(Cognitive)を模した機能を効率的に利用できます。

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Cognitive Services とは

Cognitive Servicesは人間の認知(Cognitive)を模した機能を、WebAPIとしてすぐ利用できる「AIパーツ」です。組み込みにあたっては、AIやデータサイエンスの技術知識を使わずに、視覚、音声、言語、決定、検索といった認知ソリューションを構築できます。利用者はCognitive Servicesの持つ各機能をパーツのように利用できます。2020年10月現在、意思決定、言語、音声、視覚、Web検索の5つのカテゴリで28の機能(プレビューを含む)が公開中です。各カテゴリの概要は次のとおりです。

  • 意思決定:問題の識別や望ましくないコンテンツの検出など
  • 言語:自然言語の解釈や顧客の質疑応答など
  • 音声:音声書き起こしやテキストの音声変換など
  • 視覚:画像認識AIや動画の分析など
  • Web検索:Microsoftが運営する検索エンジン「Bing」のAPIを提供

詳細は、公式サイト「Azure Cognitive Services」をご覧ください。概要説明とドキュメント、サンプルなどが用意されています。

Cognitive Servicesのメリット

Cognitive ServicesはMicrosoftが構築したAI処理モデルをベースに動作するため、複数のメリットがあります。ここでは、そのメリットを順番にみていきましょう。

従来AIを活用するためにはAIの専門知識の習得、膨大な学習データとAI処理モデルの作成など、非常にコストがかかります。一方、Cognitive Servicesは、Microsoftが学習させた様々なカテゴリのAI処理モデルを利用できるため上記のコストがかからず、開発に必要な工数を大幅に削減する事ができます。

また、AI処理モデルの学習には、時には何十~何百万という単位の良質なデータを読み込ませる必要がありますが、各分野の学習が既に実施されたAIを利用できるのはCognitive Servicesは大きなメリットの1つでしょう。

AIの専門知識がなくても利用可能

AI処理モデルの構築には、AIの専門知識に加え、アプリケーション構築の知識やAIの処理を動かすサーバー設計の知識などが必要になってきます。一般的には、これらの知識を持ったメンバーで作業を分担して対応するのですが、AI処理モデルの構築にかかる費用が膨大になるのは誰の目からも明らかです。しかし、Azure Cognitive Servicesは、学習済みのAI処理モデルを使うという選択肢を提供しますので、AIに関する知識がなくても、誰でも簡単にAIを利用する事ができるのです。

柔軟な開発環境を使用できる

Azure Cognitive Servicesをアプリケーションと連携させたい場合は、アプリケーションからREST形式のWeb API呼び出しが可能であれば、簡単に利用できます。また、C#、Python、AndroidなどのSDK、クライアントライブラリ、サンプルが用意されているため、利用者は知見のある言語を選択し、開発を進められます。

Dockerが利用できる場所ならどこでも稼働

Azure Cognitive Servicesでは、Dockerコンテナーに対するサポートが提供されており、Dockerが動作する環境であれば、サポート対象のサービスを稼働させられます。これによりAzureで使用できるAPIをオンプレミスでも提供でき、エッジデバイスでの処理が可能になります。Dockerコンテナーのサポート対象のサービスは「Azure Cognitive Services コンテナー」をご参照ください。

Cognitive Servicesのデメリット

Cognitive ServicesはAIの知識がない方でも簡単に使える一方、AI処理モデルの中身は非公開で、利用者側ではモデルに手を加えられません。そのため、学習データを増やしてもモデルの精度が上がらない場合は、「Azure Machine Learning」の利用をおすすめします。Azure Machine Learningの利用にはAIの知識が必須ですが、細かい調整を含めた自分好みのAI処理モデルが構築できます。

Cognitive Servicesの利用事例

これまで紹介してきたCognitive Servicesですが、企業ではどのような形で使用されているのでしょうか。利用事例を一つずつみていきましょう。

タクシー配車サービスに翻訳機能を実装

タクシー配車サービスのアプリにCognitive Serviceを採用し、カテゴリ「言語」の機能を用いて、訪日外国人の対応のための翻訳機能をタクシー配車アプリに実装した事例があります。今までは電話越しに直接やりとりする必要があった配車時の連絡について、お互いの言語を使い会話文を選択するだけで済ませられるようになりました。

海外拠点との音声会議での意思疎通に活用

海外拠点との音声会議を実施する企業では、英語が主に使用されます。しかしながら、同じ英語であっても国が違えば発音や表現が異なるため、相手が伝えたい内容を正しく理解できないことがあり、意思疎通に苦慮していました。そこでCognitive Servicesを利用し、カテゴリ「言語」、「音声」の機能を用いて、会話をリアルタイムにテキスト化して参加者間で共有できる「音声会議支援システム」を開発しました。結果として、参加者間の意思疎通を円滑にすることに成功しています。

チャットボットを利用した観光支援アプリを構築

訪日外国人が使用するための、とある観光支援アプリにもCognitive Servicesが使用されています。観光支援アプリには、AIを活用したチャットボット機能を搭載しており、カテゴリ「意思決定」、「言語」、「視覚」、「Web検索」の機能を用いて、訪日外国人は旅行中に観光プランを簡単に作成できます。さらに、インバウンドビジネスを提供する各社サービスがAPIで連携されており、観光プランのアクティビティをシームレスに予約できます。このAI機能やAPIの仕組みを、Cognitive Servicesで実装しています。

製造業での検査作業で活用

とある製造会社では、目視検査作業をAIに置き換え、業務の効率化に成功しています。目視による作業は部材のチェックやラベルチェック、また出荷梱包確認作業や検品など作業員に負担がかかり、人的な作業ではミスが起こりやすいという課題がありました。目視検査のAI化ではカテゴリ「意思決定」、「視覚」の機能を用いて、作業員の負担軽減や人員不足などの解消を実現しています。また、目視検査をAIに置き換えることで、検品の判定基準の均一化も図っています。

Cognitive Servicesの料金について

Cognitive Servicesの料金は、各サービスによって異なります。詳細は、Azure Cognitive Servicesの価格(Microsoft)をご覧ください。 各サービスの料金は、プルダウンからサービス名を選択することによって確認できます。

例えば、クラウドベースの機械翻訳サービスである「Microsoft Translator」については、標準翻訳とカスタム翻訳のトレーニング料金を合わせて毎月200万文字までは無料です。無料分を使い切った後の標準翻訳は100万文字あたり1,120円、カスタム翻訳は100万文字あたり4,480円、カスタム翻訳のためのトレーニングデータ読み込みは100万文字あたり1,120円(1トレーニングあたりの最大料金は33,600円)となっています。料金としては非常にリーズナブルだといえるでしょう。

Cognitive ServicesでスムーズなAIシステム構築を

Cognitive Servicesは、「人間の認知(Cognitive)機能の一部」をWeb APIとして利用できるサービスです。一から構築するにはハードルが高かったAI処理モデルをMicrosoft側で用意しているため、開発工数をかけることなく導入が可能です。少ない学習データで独自AI処理モデルが構築でき、機械学習の知識がなくても運用していける点は魅力的です。

作成したAIシステムで収集したデータを利用して、データの可視化・分析をはじめとする業務に効果的に活用する事ができます。Cognitive Servicesを活用し、スムーズなAIシステムの構築を目指しましょう。

技術的により詳しい内容を知りたい方は、Azureのプロからの有効活用アドバイスをご紹介するテクニカルブログを公開していますので、ぜひご活用ください。

プロから学ぶAzureテクニック 「Azure Cognitive Servicesの各種サービスをWebアプリから利用する」(CSPテクニカルサポートサイト「CP-TechWeb」にリンクします)

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