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  3. IoTにおける環境センサーとは何か。種類や活用 事例を解説
2023/12/21

Writer:手戸 蒼唯(てど あおい)

IoTにおける環境センサーとは何か。種類や活用事例を解説

昨今、オフィスビルや商業施設、工場の生産現場などでは、IoT技術により設備の稼働状況をリアルタイムに監視、制御することで、作業効率や生産性の向上、省エネルギー化を目指す動きが活発になっています。
本記事では、IoT化をすすめるために必要なセンサーのなかでも、環境改善に利用される環境センサーについて、その種類や特徴、活用事例について紹介します。環境センサーの導入により、生産工程の見える化や職場環境の改善を目指したいという方は、ぜひ参考にしてください。

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環境センサーとは

まずは環境センサーの概要や仕組みについて解説します。

環境センサーとは?

環境センサーとは温度、湿度、気圧、照度、騒音など環境に関する情報を定量的に数値化するためのセンサーのことです。
主にオフィスなどの室内や、工場などの作業環境の快適さの指標、熱中症予防などの安全管理、PM2.5や有毒ガスなど有害物質のモニタリングなどに利用されています。

環境センサーを利用すれば環境に関するあらゆる情報を数値化でき、環境を見える化できます。また、収集したデータを蓄積し、分析することで環境に関するトレンドや課題を把握できたり、データに基づいた改善のアプローチも可能になります。

従来からプラントなどの大型の生産設備では大規模な制御システムと組み合わせて利用されていましたが、昨今では無線でのセンシング技術やクラウド技術の向上により、大規模な制御システムがなくとも、取得したデータを可視化したり、蓄積、分析したり、遠隔管理できるようになりました。 必要な投資額を抑えられるようになったことから、オフィスビルや商業施設などで幅広く用いられています。
また、取得したデータをもとにAIを活用することで最適解を生み出すという流れも加速しており、今後も活用が進むことが期待できます。

環境センサーの仕組み

環境センサーにはさまざまな種類がありますが、その多くは測定対象の状態によって性質が変化する半導体素子や金属の特性を利用して、対象物の状態を電気信号に変換し、数値化します。
例えば温度の場合、温度によって抵抗値が変わる金属を測定対象に接触させ、その金属に電圧をかけたときに流れる微弱な電流の変化により数値化するという方式がよく利用されています。

実際に環境センサーを利用して取得データをPCの画面上で見られる状態にするためには、環境センサー以外に、センサー用電源、電流信号を数値化する変換器、それらを繋ぐ配線、通信環境の構築のためのハードウェア、データを見えるようにするためのソフトウェアなどが必要となります。

環境センサーの種類

環境センサーには主に次のような種類があります。

温度センサー

温度センサーは温度による金属の抵抗値の変化を利用することにより、物体の温度を数値化できるセンサーです。
測定したい温度域によってさまざまな種類や方式がありますが、大気中の温度を測定する場合はサーミスタと呼ばれる半導体素子が利用されるのが一般的です。

湿度センサー

湿度センサーは湿度により静電容量が変化する素子を用いて湿度を数値化できるセンサーです。電子部品や半導体の製造工程など湿度が品質に悪影響を与える工場などで多く利用されています。
また、温度センサーと組み合わせて大気中の温度と湿度の関係から不快指数を算出し、空調設備の制御を行うなど室内の環境整備や現場での熱中症対策にも活用されています。

気圧センサー

気圧センサーは圧力により抵抗値が変化する素子を用いて気圧を数値化できるセンサーです。一般的な工場の生産工程で利用される圧力センサーと比較すると微圧になるため、精度の高いセンサーを使用する必要があります。
ほこりなどが製品に悪影響を与えるようなクリーンルームでは、気圧センサーと空調設備により室内を大気圧より少し高い圧力に制御するのが一般的です。

CO2センサー

CO2センサーはCO2の濃度による赤外線の吸収量の違いを利用して大気中のCO2濃度を数値化できるセンサーです。一般的な空気中のCO2濃度と室内のCO2濃度との差を管理することで、換気タイミングの目安や、頻度を最適化することができます。
主に商業施設や病院などで換気頻度を管理することによる感染症対策のひとつとして利用されています。

人感センサー

人感センサーは人間の発する赤外線を検知して、人の存在有無を判定できるセンサーです。
身近な例では商業施設などの自動ドアやトイレの自動照明、オフィスでの空室管理などに利用されています。

紫外線センサー

紫外線センサーは紫外線を照射すると電流が流れる素子を利用して、紫外線量を数値化できるセンサーです。
日中の紫外線量の測定や農業分野での植物の成長速度を測るための指標などとして利用されています。

放射線センサー

放射線センサーは放射性物質から放出される電磁波の量を数値化できるセンサーです。
主に食品や人の放射性物質による被爆状態の把握に利用されています。

ガスセンサー

ガスセンサーは特定の気体が接触すると抵抗値が変化する半導体素子を利用して、対象ガスの存在を検知できるセンサーです。
家庭や工場などで有害ガスのガス漏れ検知用として利用されています。

騒音センサー

騒音センサーは音波による金属の薄膜の振動を電気信号に変換することで、音の大きさを数値化できるセンサーです。
主に建築現場や工場での騒音測定などに利用されています。

照度センサー

照度センサーは光の強さにより電流が変化する素子を利用して照度を数値化できるセンサーです。
身近な例ではスマートフォンの画面の明るさ調整などに利用されています。

風速・風向センサー

風速、風向センサーは風による羽根車の回転数、向きの変化や超音波を利用して風速を数値化、風向きを測定できるセンサーです。
主に天気予報、ゴルフなど風向きが結果に影響するスポーツの中継などで利用されています。

PM2.5センサー

PM2.5センサーは大気中に浮遊する2.5μm以下の微粒子の濃度を検出できるセンサーです。
大気中のほこりやダストの量を数値化する目的で利用されています。

濁度センサー

濁度センサーは液体の濁りによる光の透過量や減衰量を利用して濁り度合いを数値化できるセンサーです。
主に食品工場での液体の品質管理などに利用されています。

水質センサー

水質センサーはpH(水素イオン濃度)や電気伝導度、溶存酸素量など、水の状態を数値化できるセンサーです。
高純度な水が必要な食品工場や発電所、農業分野などで利用されています。

感雨センサー

感雨センサーは水滴による電極の静電容量や抵抗値の変化を利用して降雨の有無を判断できるセンサーです。
降雨センサーを利用すれば、降雨の際に自動的に窓を閉めるなど設備の自動化を検討できます。

土壌センサー

土壌センサーは複数のセンサーを組み合わせ、土壌の電気伝導度、体積水分率、温度などを数値化できるセンサーです。
主に土壌の状態によって生育状況が変化する農業分野などで利用されています。

環境センサーをIoTで活用する

環境センサーをIoTに導入する際の留意点を紹介します。

環境センサーをIoTに活用するメリット

IoT化することで、環境センサーの情報を可視化、蓄積、分析、AIとの連携などさまざまなことに活用できます。主なメリットについて記載していきます。

現状を正しく把握できる

環境センサーを用いて、あらゆる状態を数値化すれば現状を客観的データとして正しく把握できます。例えば、生産工程などで熟練の作業者が感覚で調整しているものを数値化することで、誰でも同じ作業を実施できるようになり、属人化を防止することができます。適切な改善策を立案するためには、いかに現状を正しく把握できるかが非常に重要です。

改善策を立案できる

環境に関するあらゆる状態を数値化しトレンドを分析することで、解消したい課題の原因となっている要素を推定することができます。これにより、改善策を立案することが容易となり、さまざまな課題に対して客観的事実に基づいた改善のアプローチをとることができます。

結果が検証できる

環境センサーによりあらゆる状態が数値化されていれば、改善後の結果も容易に検証できます。また、仮に改善に至らなかった場合でも、データの分析の視点を変えることで新たな改善策を検討できます。

ノウハウとして水平展開できる

改善がうまくいき、結果がデータとして検証できれば、同様の課題を抱える生産工程や職場に対し水平展開できます。また、自社内のノウハウが蓄積できれば社外向けのサービスとして展開することも可能となります。

環境センサーで測定した情報をIoT化するなら

IoT化をすすめる場合、フェーズを分けて徐々に導入するのが一般的です。例えば工場であれば導入レーンと従来レーンで分けるなど全箇所ではなく、一か所から始めることも多いです。

最近では配線が不要な電池式のセンサーや、 大規模な通信環境の構築が不要なBluetooth接続の環境センサーも多く開発されており、従来と比較するとスモールスタートがしやすい環境にあると言えます。

環境センサーによるIoT化をすすめる場合、どのようなセンサーが最適か、またセンサーの販売価格だけではなく、運用コストや連携のしやすさなどを吟味し何を選べばよいのかなどIoT環境の構築や環境センサーの導入実績が豊富な企業に相談しながら決定するのがおすすめです。

環境センサーのIoT活用事例

環境センサーは主に次のような場面で利用されています。

工場や製造施設内での作業環境計測

工場などの生産現場ではガス漏れを検知するためのガスセンサー、製造条件を一定にするための温度・圧力センサー、作業環境の改善を目的とした温度・湿度センサー、騒音センサーなどさまざまな環境センサーが用いられています。
また、危険な装置の周りに人を感知した場合は装置を運転できないようにする安全インターロックとして人感センサーなどが利用されています。

農業生産においての計測

農業ではビニールハウス内の環境を一定範囲に制御し、安定した生産や品質を実現するために温度・湿度センサーが利用されています。
また、植物の成長を予測するために日射量を計測できる日射センサーや紫外線の強弱を調整するための紫外線センサー、適切な堆肥の量や土壌の状態を監視する土壌センサーなどが利用されています。

昨今ではこのように環境センサーやIoT技術を用いて、熟練生産者の勘と経験 だけに依存しない農業のことを「スマート農業」と呼び、農産物の安定供給や食料自給率の改善に向けた新たな技術として注目されています。

店舗やオフィス、施設内の環境計測

店舗やオフィスでは適切な換気を行う指標とするためのCO2センサー、空調機を制御するための温度・湿度センサー、空室状況をリアルタイムで監視するための人感センサーなどが用いられています。
また、複数のセンサーを組み合わせ、人の多い場所を検知し、集中的に空調を稼働させるなど複雑な制御方式も多く導入されています。

これらの技術は新型コロナウイルスやインフルエンザといった感染症対策の一環として今後もますます導入が進むことが予想されます。

プラントや発電所での水、排ガス計測

プラントや発電所などの施設では、純水や排水を分析するための水質センサーや濁度センサー、周囲の環境に悪影響がないよう排ガスの組成を分析するガスセンサー、流体の圧力や温度を制御するための圧力センサー、温度センサーなどが利用されています。
これらはすべて有線で接続され、中央監視システムにより管理されますが、スポット的に設備の状態を測定する場合などは、無線式の環境センサーが利用される 場合もあります。

環境センサーを用いた最適なIoTセンシング技術を導入するなら

IoT化を行う場合、ただ「見える化」するだけではなく、取得したデータでどんな課題を解消したいのかという目的を明確にする必要があります。

本記事では代表的な環境センサーの例を挙げましたが、解消したい課題によって適切な環境センサーの種類や通信環境の構築方法はさまざまです。どの組み合わせが良いか、どうすれば適正価格で始めることが可能かをノウハウが豊富な企業に相談しながら、ぜひ、自社に合った最適な方法を検討してみてください。

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ネクストステップにおすすめ

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