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2024/09/17

Writer:手戸 蒼唯(てど あおい)

AIができること、できないことの違いは何?AIを理解し成果に繋げよう

近年、AI技術の進歩が急速に進み、さまざまな分野でAIが活用されています。ビジネスシーンでも、日々の業務効率化、顧客満足度向上、開発速度促進、などを目的にAIの導入が進んでいます。

本コラムでは、AIが得意とするデータ解析、作業の自動化、文章の生成などに触れ、これらの活用方法やAIに任せるのに向いている業務と人が直接担うべき業務について実際の事例を交えて解説します。

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AIができることは何か?

AI技術は、高い学習能力とデータ処理能力を活かして、多くの業務で利用されています。AI技術特有の得意な領域がある一方で、苦手な領域も存在します。

まずは、AIができることを詳しく解説していきます。

データ解析

AIは大量のデータを処理し、その中から共通する特徴やパターンを見出すことが得意です。

この能力は、消費者行動の分析、金融市場の動向予測、設備データの傾向分析、予知保全、さらには気象情報の解析など、幅広い分野で活用されています。

AIにより大規模なデータを迅速に解析することで、過去データの検証や未来予測ができ、企業はより効率的な意思決定が可能になります。

言語処理や画像、音声の識別

AIは、言語処理や画像、音声の識別といった領域も得意としています。

例えば、音声認識技術は通訳アプリや音声操作デバイスに、画像認識技術は医療画像の分析やセキュリティシステムに利用されています。また、製薬や化学業界では複雑なシミュレーションを通じて、新しい製品の開発や研究開発に役立てています。

従来であれば人が時間をかけて試行錯誤していたものが、AIを利用することで短時間での仮説検証が可能になります。

自然な文章の生成

ChatGPTなどの技術を活用することで、AIは言語を理解し、自然な文章を作成することができます。文章を通じて人間と違和感なくコミュニケーションが取れるため、より人間らしいやり取りが求められる場面でも利用されています。

具体的には、チャットボットなどによるカスタマーサポートの自動化、メディア記事の生成、さらにはマニュアルを覚えさせたAIを活用した従業員の教育ツールの開発など、さまざまな分野での活用が進んでいます。

AIができないことは何か?

AIには上記で挙げたような得意分野がある一方で、苦手とされる領域も存在します。
AIに任せられる業務はAIに任せ、人間はより専門性や創造性の高い業務に集中することで、業務のパフォーマンスを高めることが期待できます。

現時点でAIにできないとされていることは主に次のとおりです。

計算ロジックの可視化

AIの計算過程はブラックボックス化されており、可視化することはできません。そのため結果の解釈が難しい場合があり、特に理論物理学のような分野では問題となることがあります。

共感や人間心理の理解

AIはプログラムされたパラメータやアルゴリズムに従うため、人間の感情や心理状態を深く理解し、それに対する共感を示すことはできません。

人間のように感情に基づく反応や、対人関係における微妙な感覚を捉えることはAIには困難です。そのため文化的な背景を理解したやり取りや、対人で求められる繊細なニュアンスを含むコミュニケーションは、引き続き人間が担う必要があるでしょう。

AI技術とその種類

AI技術は、その応用範囲の広さにより、幅広い分野での利用が進んでいます。この技術の核心部分には機械学習がありますが、処理領域や意思決定の能力により複数の種類に分けられます。

AIのインプット方法、機械学習とは?

機械学習は、AIに大量のデータを与え、それによって自らパターンを識別し、タスクを実行できるようにする技術です。
このプロセスには、ニューラルネットワークという人間の脳の仕組みを模した計算モデルが使用され、大量のデータから特徴を抽出します。

機械学習には「教師あり学習」と「教師なし学習」があります。前者ではモデルに正解データを示しながら学習を進め、後者ではデータの特徴を自動で見つけ出す手法が用いられます。

処理領域によるAIの分類

AIはその処理領域に基づいて、「特化型」と「汎用型」の2種類に分けられます。

特化型AI(ANI)とは、特定のタスクや領域において高いパフォーマンスを発揮するように設計されているAIのことです。
具体的には、自動運転や音声認識、医療診断など、あらかじめ設計されたプログラムに従って処理を行う技術のことを指します。

それに対し、汎用型AI(AGI)はあらゆる領域での応用が可能なAIのことです。さまざまなデータに基づいてAI自ら判断を下す能力を持っています。

特化型AIは特定の問題に対して有効である一方、汎用型AIは人間のような多様な問題解決能力を持つことを目指しています。

また、汎用型の中でも人間の知能を遥かに超える能力を持つ人工超知能型AI(ASI)も開発されています。これは、従来の人工知能(AI)や汎用型AI(AGI)を超えるものであり、未知のタスクも解決できるようになると言われています。

意思・思考によるAIの分類

AIはその意思決定能力によって、「強いAI」と「弱いAI」に分類されます。

強いAIは、人間の知能や意識に匹敵する、またはそれを超えるレベルの知性を持つAIです。人間のような認識、思考、理解、学習の全てを自律的に行うことができます。

対照的に、弱いAIは、特定のタスクや問題に特化して設計されたAIであり、人間のような知性や意識を持つことを目指していません。特定の範囲内で効率的にタスクを遂行することに重点を置いています。

強いAIと弱いAI、特化型AI(ANI)と汎用型AI(AGI)は多くの点で重なる部分がありますが、強いAI、弱いAIはAI全体の一カテゴリであり、特化型AI(ANI)、汎用型AI(AGI)は特定のタスクに特化しているAIかどうかを示す具体的な概念です。

AIが業務にもたらす効果とは?


AI技術が業務に導入されることで、業務の効率化やコスト削減だけでなく、作業の質を向上させるなど、多様な効果をもたらしています。

AIの導入により得られる効果は主に次のとおりです。

省人化・コストカット

AIにより業務を自動化し、従業員をより付加価値の高い作業に配置することで省人化が期待できます。特に、画像認識や音声認識技術を活用することで、データ入力や単純な監視作業を自動化でき、人件費などのコスト削減が可能となります。

さらに、AIによる解析を利用すれば、未知のパターンの発見や将来の予測が行え、設備の予防保全などを行うこともできます。また、画像認識により検査工程を自動化すれば、ヒューマンエラーの削減も期待できます。

プロフェッショナルの生産性向上

医療や法律、金融などの専門知識が求められる分野でも、AIは重要な役割を果たしています。特定の分野で専門家の知識や推論を模倣し、問題解決や意思決定を支援するAI技術(エキスパートシステム)を用いることで、過去事例の調査など専門家の作業を効率的にサポートし、生産性を飛躍的に向上させることが可能です。

また、人材不足が深刻な分野では、人に依存せず一定のサービスレベルが保たれるなどのメリットがあります。

異常検知

AIは製造業をはじめとした多くの分野で、異常検知に活用されています。AIに正常時のデータを読み込ませることで、通常時との差異を素早く見つけ、故障する前に前兆を検知することが可能となります。

目視では見逃されがちな細かい異常も検出でき、製品の品質保持や安全性の向上につながります。例えば、食品の選別、缶の充填検査、自動車の障害物検知など、具体的な応用例は数多く存在します。

事前予測

AIの機械学習機能は、過去のデータから未来を予測するのにきわめて有効です。例えば、季節による需要の変化や市場のトレンドを分析し、より無駄のない生産計画や販売計画を立案できます。

ほかにも、株価の動向や機械の故障タイミング、健康問題の発生などの予測にも活用されています。

AIを利用した業界別事例

AI技術の急速な発展は、さまざまな業界での業務プロセスの改革と効率化をもたらしています。

ここでは業界別に、AIを活用した実際の導入事例を紹介します。

製造業

シーメンス株式会社は、製造ラインにおける品質検査をAIで自動化しています。
この技術は、人間の目では見逃しやすい微細な欠陥も検出できるため、製品の品質向上とリコール削減に直結し、大幅なコスト削減と生産効率の向上を実現しています。
参考:SIEMENS「Industrial Copilot」

金融業

中国の芝麻(ジーマ)信用(アリババグループ)はAIを活用したクレジット与信審査で、顧客の信用評価を迅速かつ正確に行い、貸し倒れリスクを最小限に抑えながら業務効率を向上させています。
参考:総務省情報通信白書平成30年版「芝麻信用の概要」

流通業

イオンリテール株式会社では、AIを活用した需要予測で商品の在庫管理を最適化し、廃棄ロスの削減と顧客満足度の向上を実現しています。 参考:イオンリテール株式会社「国内最大規模の需要予測・発注システム「AIオーダー」を開発、380店に導入」

サービス業

株式会社NTTドコモは、AI電話サービスを導入し、ドコモショップでの顧客からの来店予約を自動応答化しています。これにより、人間が対応した場合と比較し、来店予約の取りこぼしを軽減でき、電話がつながりにくいなどの顧客の不満を解消しています。
参考:NTTコミュニケーションズ「AI電話サービス 導入事例 株式会社NTTドコモ」

運輸・物流業

アメリカ発祥の配車依頼サービス、Uberは配車および配送の最適化にAIを活用しています。待ち時間の短縮と配送ルートの効率化を実現し、顧客体験を向上させています。

参考:Uber Blog「DeepETA: How Uber Predicts Arrival Times Using Deep Learning」

また、ヤマト運輸株式会社は配送業務量予測システムを導入し、日々の配送計画をより正確に立てることで、配送効率の向上とコスト削減を達成しています。
参考:ヤマトホールディングス「ビッグデータ・AIを活用した配送業務量予測および適正配車のシステム導入について」

医療業

医療分野ではAI技術は医療記録の整理や診断の補助、薬の服薬ミス防止、低侵襲手術のサポートなど、多岐にわたる医療業務に利用されています。具体例の一つとしては、AIを使ったバーチャル看護アシスタントが24時間体制で患者の質問に答えることで、医療従事者の負担を軽減し、患者の満足度向上に貢献しています。
参考:IBM「ヘルスケアにおけるAIのメリット」

AIとIoTの組み合わせで可能性を拡大

AIとIoT(Internet of Things)の組み合わせは、ビジネスシーンにおいて大きな変革をもたらしています。これら二つの技術を融合することで、取得したトレンドデータのリアルタイムな分析からプロセスの最適化、異常検知まで、さまざまな領域での効果が期待できます。

IoTデータのAIによる分析と必要性

IoTデバイスから生成される膨大なデータを人間が分析しようとすると、作業に多くの時間を要してしまいます。一方でAIを利用すると、これらのデータを効率的に解析して、瞬時に考察を行うことができます。

例えば、機械の稼働状況をリアルタイムで分析することにより、故障の予測や保全時期の最適化ができるほか、製品の不具合や生産設備の異常を早期に発見して被害を最小限に抑えることもできます。また、AIによる設備の自動調整や最適制御を行うことで、機器の性能を最大限に引き出すことが可能です。

このように、IoTとAIは相互に補完し合うことで、未利用のデータから最大の価値を引き出します。

想定される効果的なAIとIoTの組合せで実現できること

AIとIoTの組み合わせは、多様な産業分野での利用が期待できます。

前述の工場設備の診断や最適化のほか、ウェアラブル端末から得られる生体データを利用して、従業員の健康管理や作業負荷の調整を行うこともできます。

また、農業分野では環境データを収集し、目的にあわせてデータ処理・分析を自動で行うことで、「今なにをするべきか」を提案するシステムなどが利用されています。

ほかにも身近に利用されている技術として、自動車の運転データを分析して、運転者の安全を支援するシステムの構築や、スマート家電の遠隔制御、電力需要の最適化などもAIによって実現されています。

さらに、ドローンとAIを組み合わせることで、災害現場のリアルタイム映像解析や被害推定を行うことが可能であり、この技術は人手不足が進む林業などの分野でも利用され始めています。

AIとIoTの今後の展望

IoTデバイスの普及により生成されるビッグデータを効果的に活用するためには、AIの解析能力がますます重要になっています。
また、機械学習技術が進化することで、IoTデバイス自体が環境から学習する能力を持つようになるでしょう。

今後も5Gなどの先進的な通信インフラの発展により、AIとIoTのリアルタイム連携が加速され、産業や社会生活における革新的な変化が期待されます。

AIを自社で活用していくには

AI技術の進展とともに、ビジネス環境でもその活用がますます重要になっていきます。自社の事業にAIを取り入れることで、業務の効率化、コスト削減、顧客サービスの向上など、多くのメリットが得られます。一方で、AI技術を適切に理解し、実際に業務に活用することができる人材はまだまだ少ないという課題があります。

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