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2024/08/09

Writer:手戸 蒼唯(てど あおい)

企業がAIを導入する前に知っておきたいポイントとは。メリットやリスクについて解説

昨今、企業におけるAIの活用事例が増えており、自社でもAIを導入しようと検討する企業が増えています。一方で、具体的な導入手順については、どのように進めればよいのか分からないというご担当者様も多いのではないでしょうか。

本記事では、AIを導入する前に知っておきたいポイントについて解説します。自社の業務にAIを取り入れたいという方にとって参考になれば幸いです。

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AI導入することでどんなことができるのか

AI技術を利用すれば、その計算能力とデータ処理能力を活かして、多くの領域で業務効率化が可能です。業務効率化により人間は本来時間を費やすべき重要な業務に集中できるため、生産性が向上します。

一方、AIと直接競合する分野に注力することは、将来的に労働市場での価値が低下するリスクを伴います。AIを上手く活用するためには、AIの特徴をよく理解することが重要です。

では、企業がAI技術を導入することで実現できることを具体的に見ていきましょう。

顧客サポートや問い合わせ対応の自動化

AIは自然言語解析(NLP)を使用して、人間の言語を理解して処理し、生成することができます。この技術を用いることで、顧客サポートやお問い合わせの初期対応の自動化に役立てることができます。

例えば、チャットボットや仮想アシスタントは、24時間365日の顧客対応を可能にします。夜間や休日であっても、顧客からの質問に迅速かつ正確に答えることができ、顧客満足度を高めることが期待できます。

また、社内利用においても総務部門などにおいて日頃社員から受ける質問をAIに学習させることで、自動的に回答させたり、会議などの音声データの文字起こしや要約を行ったりすることにより議事録作成の手間を削減するなど、従業員の業務負荷を軽減できます。

画像・動画の生成

AI技術は、画像や動画の生成にも活用されています。
例えば、デザインや広告分野では、AIを利用して、事前に設定したコンセプトから自動的にコンテンツを作成しています。

また、動画編集においても、AIはカット編集、エフェクト追加、色補正などの作業を自動で行い、編集作業の効率化を図ることができます。これにより、クリエイターは単純作業的な業務にかける時間を短縮させ、より付加価値の高い作業に集中することができます。

危険箇所の検出、環境データの分析

AIは、大量のデータを迅速に処理し、分析する能力を持っています。この能力と、AIの画像認識技術を組み合わせることで、建設現場における作業危険箇所の検出や、環境センサーから取得した温度や湿度などの環境データの分析が可能です。

また、製造業においては、温度、圧力、振動、電流値や稼働時間などの設備のデータを収集し、分析することで異常を早期に検出し、故障を未然に防ぐ予知保全や、設備の稼働率の向上が実現できます。

農業分野においても、AIを活用して大気や水質、土壌のデータをリアルタイムで分析し、堆肥をいれる時期や生育環境を調整することで、季節や天候によらない安定した生産を行うスマート農業などが行われています。

品質管理

AIは、製造業における品質管理で大きな役割を果たしています。
AIの画像認識を利用して検査工程を自動化したり、生産ラインのデータ分析により不良製品が発生した際に不良要因を特定したりすることに役立てています。

これまで人の目によって行われていた検査工程を一部自動化することで、疲れや経験不足によるヒューマンエラーを減少させ、不良製品の出荷リスクを低減できます。正解とされるデータが大量に集められる品質管理分野ではAIとの相性は非常に良いため、さまざまな場面で活用が進められています。

実際にAIを活用している事例については「ビジネスの現場におけるAIの活用事例とは」にまとめているので、あわせてご確認ください。

AIを導入するプロセス

ここからは実際に企業がAIの導入を検討する場合の流れについて解説します。

AIの導入検討から運用までの一般的な流れは以下のとおりです。

AIにできることを知る

AIを導入する際には、まず、AIにできることをしっかりと理解することが重要です。

AIはデータ分析、自動化、パターン認識、予測、言語理解、文章生成など、多岐にわたる能力を持っています。これらの能力を活用することで、過去のデータやリアルタイムに取得したデータから適切な判断をすることが得意とされています。

例えば、AIは画像、音声、温度などのデータを収集し、情報処理・解析を行い、結果を出力することが可能です。
特に、人間には膨大な時間が必要とされるようなデータの処理もAIは容易にこなすことができます。この能力は、画像処理、危険検知、シミュレーションなど、さまざまな分野で活用されています。

一方で、事例や前例のないアイデア創造や複数の数式を組み合わせた複雑な計算、文化的な背景を理解したコミュニケーションや共感などの人間心理の理解など苦手とされる領域も存在しています。

このように、AIにできることとできないことを良く理解したうえで、AIの導入を検討しましょう。

AIをどう活用するかを明確にする

次に、企業の課題や目標に対してAIをどのように活用するかを明確にする必要があります。

例えば、社内文書やノウハウ、マニュアル、図面などの検索への活用を検討している企業が多いのではないでしょうか。
これらのデータは、AIに認識できる情報として、自社内で整理されている場合が多く、比較的導入が容易で、必要な情報にアクセスできるまでの時間を大幅に短縮できます。

他にも、社内チャットボットやコールセンターの分析、マーケティングリサーチ、問い合わせログの集計、メールの返信文作成、論文の要約、コストの算出、セミナー内容の企画立案、顧客ごとの営業方法の立案など、幅広い場面でAIの活用が可能です。

これらの中から、自社にとっての課題解消につながるテーマを選定し、実現させるために必要なデータの収集方法などを検討します。

東京エレクトロンデバイスでは、さまざまな業界のAIのユースケース情報を持っています。「自社でAIを活用してイノベーションを起こしたいが、具体的な場面が浮かばない」という場合にもヒアリングをしながらご提案を行いますので、ぜひ一度ご相談ください。

AIを活用できる人材を確保する

自社の業務へAIを導入する際は、AIの活用方法について専門知識を持った人材の確保が不可欠です。
ここでの専門知識とは、プログラム言語に対する知識という意味ではありません。収集したデータを正しく活用するために、AIにどのように解析させて、どのような結果を導くか正しく指示できる能力を持った担当者を配属させることが重要です。

また、部門が複数に渡る場合は、部署ごとに利用推進の担当者を割り当てて、必要な場合は外部の専門家を招きながら、適切な教育の機会を設けることも重要です。

AIを導入する

AIの活用方法や解析させるデータが明確になれば、実際にAIシステムを導入します。
この段階では、使用するAIツールやプラットフォームの選定、データ収集の準備などを行います。

AIシステムの導入には、初期投資や導入期間が必要です。最初からすべての課題解決を目指すと導入のハードルが高くなるため、まずは実現が容易な課題からスモールスタートさせると良いでしょう。
AI技術を利用したツールはそれぞれに特徴があるので、自社の業務を効率化するために、どのツールを利用するのが最適か詳細に検討することが重要です。

東京エレクトロンデバイスでは、お客様固有のデータをAzure OpenAI Serviceと連携する、PoCフェーズの検証支援を行っています。自社のデータを使って業務効率化・新規事業開発へのAI活用を検討されているご担当者様はご相談ください。

東京エレクトロンデバイスのAI導入支援サービス(Try it!Azure OpenAI Service EXPRESS)について詳しくはこちら

AIを運用する

AIシステムの導入が完了し、運用がスタートしたら、現場からのフィードバックも踏まえながら定期的にその効果を評価します。
運用段階では、定期的なシステムのメンテナンスやデータの更新が重要です。

また、AIの成果を最大限に引き出すために、継続的な改善と最適化が必要です。これにより、AIの導入効果を長期にわたって持続させることができます。

AIを導入することで得られる利点


企業がAI技術を導入することで得られるメリットとして、次のようなものが挙げられます。

作業の効率化により、時間をかけるべき業務に集中できる

AIは、あらかじめ決まった形でデータを収集し、決まった形にアウトプットします。こうした一連の情報処理を、人間を超えるスピードで行うことができ、膨大なデータ処理を可能にします。

この高速なデータ処理能力により、従業員はデータ集計、書類作成、コールセンターの顧客情報の分析、作業員のスケジュール管理などの繁雑な業務から解放され、本来集中すべき重要な業務に時間を割くことが可能になります。

人口減少が進む中で、人手不足の解消につながる

人口減少による労働力不足は、多くの産業で深刻な問題となっています。
AIを業務のサポートやルーチンワークの自動化に活用することで、人間の労働負荷を軽減し、人手不足を解消させることが可能です。

AIはあくまで補助的な役割であり、最終的な意思決定は人間が行う必要がありますが、AIが情報処理のサポートをすることで、業務の効率化や意思決定の迅速化を実現できます。

また、これまで熟練者の経験値に依存していた作業も、同じツールを利用すれば誰でも同じアウトプットが出せるようになり、業務の属人化解消にもつながります。

将来予測・シミュレーションに活用できる

AIは大量のデータを活用して将来予測やシミュレーションを行うことができます。これによりデータに基づいた緻密なマーケティング戦略の策定や投資判断の精度向上が可能です。

また、研究開発の分野では過去の大量の実験データから、より成功確率の高い方法を検討するなどのシミュレーションが行われています。これにより、製品開発から製品化までのリードタイムを短縮させることができます。

組み合わせ次第で活用の幅が広がる

AI技術は単体でも多くの機能がありますが、IoTセンサーなどと組み合わせることで活用の幅が広がります。

例えばセンサーにより取得したデータから最適な運転状況をAIが自動で判定し、それにあわせて設備の制御を行うことで、24時間稼働可能なシステムを構築できます。
具体的な活用例としては、商業施設の自動空調、環境センサーや自動散水システムによるスマート農業、ドローンを使った点検や防犯、教育の効率化などが挙げられます。

AI導入に伴うリスク

AI技術の導入は多くのメリットをもたらしますが、それに伴うリスクも理解し、適切に対処することが必要です。

AI導入の際に考慮すべき主要なリスクについて解説します。

AIを活用できないと競争力が落ちることがある

AIによる業務自動化が進む中で、AIで代替可能な業務の価値が下がってしまう時代になっています。そのため、AIを効果的に活用し、業務プロセスを改善しようとする視点をもつことが重要です。

多少の時間がかかったとしても、AIでできることの把握やAIの使い方の習得に時間をかけたほうが最終的には良い結果が得られるでしょう。
従業員個人でも企業でも、初期段階でAIの機能や利用方法に対する理解を深め、積極的に技術を取り入れていくことが、自らの競争力を維持するためには不可欠です。

機密情報の漏洩リスクがある

AIシステムへの入力データには機密情報が含まれることが多いため、初期設定の誤りが外部への情報漏洩につながるリスクがあります。
このリスクを避けるためには、セキュリティ対策を徹底し、適切なAIシステムの設定や管理を行う必要があります。

機密情報をAIで活用する場合は、セキュリティに詳しい専門家のサポートを受けながらシステム構築を行うことが重要です。

使い手のリテラシーが求められる

AIは自動で作業を行いますが、その出力の正確性には限界があり、時には著作権を無視したり、誤った判断を下したりすることがあります。また、AIのプログラム自体にトラブルが生じることもあり、予期せぬ手間が発生することもあります。

これらのリスクに対処するためには、ユーザー自身がAIの能力と限界を理解し、最終的な意思決定は人間が行う必要があることを忘れないようにしましょう。

AIを適切に利用するためにはAIの使い所を正しく判断し、適切な使い方ができるITリテラシーが求められます。実際にAIを導入する場合は、従業員のリテラシーを高めるための定期的な教育機会を設けることが必要です。

AIの導入後に必要な運用とメンテナンス

AIを導入した後、その効果を最大限に引き出し、持続的な運用を実現するためには適切なメンテナンスと運用管理が必要です。

AI導入後に必要なメンテナンスは、主に次のようなことが挙げられます。

継続的なデータ更新と品質管理

AIシステムによりデータ解析を行う場合、適切な判断を行うためには常に最新のデータが必要です。正解を学習させるための教師データが古くなると、AIの出力する結果の精度や信頼性が低下する可能性があります。

そのため、継続的にデータの更新と品質管理を行うようにしましょう。定期的にデータを見直し、必要に応じて新しいデータを追加することで、AIのパフォーマンスを維持できます。

モデルの再トレーニングと改善

AIモデルは一度構築したあとも、教師データの差し替えなど、定期的なメンテナンスが必要です。時間と共に変化する環境や条件にあわせて、最適解も進化させていくようにしましょう。
更新したデータをもとに、定期的にモデルも再トレーニングすることで、AIの精度と効果を維持し、改善することができます。

また、出力した結果が正しかったかを判定するフィードバックループを設けることで、AIが過去のパフォーマンスを基に自己改善できる環境を構築することも重要です。

システムの監視とトラブルシューティング

AIに限らず、システムの運用中に問題が発生することは避けられません。そのため、システムの継続的な監視と、トラブルが発生した際に対応できる体制を整えておく必要があります。

異常が検知された場合は、迅速に対応し、原因を究明して改善策を講じることで、システムの安定性を保つことができます。

ユーザー教育とサポート

AIシステムを効果的に活用するためには、ユーザー側のAIに対する理解とそれらを活用するスキルが重要です。定期的なトレーニングや教育プログラムを実施し、ユーザーがAIの機能や使い方を正しく理解し、適切に利用できるよう支援します。

また、サポート体制を整え、ユーザーからの問い合わせや問題解決に迅速に対応することも重要です。

セキュリティとプライバシーの管理

AIシステムでは、機密情報の漏洩リスクを考慮したセキュリティ対策やプライバシーの管理が重要です。データの保護、アクセス制限、暗号化などの対策を講じ、外部からの脅威や内部の不正アクセスからシステムを守れるよう管理が必要です。
また、定期的にシステム設定を見直すなどのアップデートを行い、セキュリティ対策の強化に努めるようにしましょう。

使い所を見極めてAIを導入しよう

AI技術の進展とともに、企業においてもAIの活用がますます重要になっていきます。
AI技術の導入によるメリットとリスクの両面を把握し、リスクを未然に抑えたうえで、最大限の利益を享受するのが、これからの時代の企業に求められることだといえます。

東京エレクトロンデバイスが提供するAI導入支援サービス(Try it! Azure OpenAI Service EXPRESS)は、自社で環境を0から用意することなく、PoCで検証することによりスムーズに生成AIを活用できる環境を構築できます。
自社のデータを利用した業務効率化や新規事業開発への具体的なAI活用の方法に課題がある方は、ぜひ東京エレクトロンデバイスまでご相談ください。

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