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  3. ビジネスの現場におけるAIの活用事例とは
2024/08/01

Writer:手戸 蒼唯(てど あおい)

ビジネスの現場におけるAIの活用事例とは

昨今、Chat GPTをはじめとする生成AIの進化をきっかけに、世界中でAI活用が進んでいます。

東京エレクトロンデバイスでも企業のAI導入を支援していますが、「自社でもAIを導入したい」という企業からのご相談が増えています。一方で、AIを導入すれば何ができるのかが不明確な場合、自社の業務の中で何を効率化できるのか見当がつかないという事例も多く見受けられます。

AIによる業務の効率化を目指すためには、まずはAIがどのような分野でどのように活用できるのか、具体的な事例を知ることが重要です。そのうえで、自社ではどのような分野でAIを導入できるのか、そしてAIを導入した場合にどのようなメリットが得られるのかを検討してみましょう。

本記事では、AIとは何か、AIが得意なこと不得意なこと、そしてビジネスの現場における実際の活用事例について詳しく解説します。

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AIとは

AI(人工知能)とは、コンピュータが人間の知能を模倣し、学習や推論、認識といった知的作業を行う技術のことです。

AIは、特定のタスクを自動化し、効率的に処理する能力をもつシステムです。基本的には、データを基に学習し、その結果を用いて問題解決や意思決定のサポートを行うことを得意としています。

この技術は、人間の知能を模倣することを目指しており、機械学習やディープラーニングなどの手法もAIに含まれます。

AIの歴史と進化

AIの概念の起源は1950年代に遡りますが、技術の進化と共に急速に発展してきました。

初期のAIは限定的なルールベースのシステムでしたが、近年は機械学習とディープラーニングの進展により、画像認識や自然言語処理など、より高度なタスクを実行できるようになりました。

AIの種類と分類

AIは、その機能や目的に応じていくつかのタイプに分類されます。例えば、特定のタスクに特化した「狭義AI(Narrow AI)」と、広範な知識を持ち多様なタスクを実行できる「汎用AI(General AI)」があります。

また、AIは技術的な観点からも分類され、機械学習、自然言語処理、コンピュータビジョンなど、異なる分野に分けられます。

AIが得意なこと

AIはデータ解析や言語処理、画像・音声の識別など多岐にわたる機能を持ち、ビジネスのさまざまな分野で利用されています。

具体的にAIが得意なこととしては、主に次のようなことが挙げられます。

データ解析

AIは大量のデータを迅速かつ正確に分析することができます。これにより、取得したデータを解析し、トレンドの予測や異常検知、パターン認識などが可能になります。

例えば、製造業においては、生産ラインの設備から収集したデータを解析することで、不良品の発生パターンを特定し、不良の発生要因特定や不良率の予測などが行われています。

また、マーケティング分野では、消費者の行動データを分析し、ターゲティング広告の精度を高めることに活用されています。

言語処理や画像、音声の識別

自然言語処理(NLP)を用いたAIは、テキストデータの理解や翻訳、感情分析を行います。また、画像認識技術により、物体や顔の識別が可能となり、音声認識技術では音声データの理解と処理が行われます。

これらの技術は、カスタマーサポートの自動化やセキュリティシステムなどで活用されています。例えば、チャットボットは顧客からの問い合わせを自動で処理し、24時間365日の対応を可能にすることで、顧客満足度の向上、企業の省人化に貢献しています。

自然な文章の生成

AIは、自然言語処理(NLP)や機械学習などの技術を用いて、人間が書いたような自然な文章を生成することができます。この技術は、ニュース記事の自動生成やチャットボットの会話生成などに利用されています。

自然な文章生成の技術は、コンテンツ作成の効率化や顧客対応の自動化に大きく貢献しています。例えば、AIを用いた自動レポート生成ツールは、膨大なデータを収集・分析し、それを基に自然な文章で業務報告書を作成することができます。これにより、従業員の時間と労力を大幅に削減します。

AIが不得意なこと

AIは多くの業務で有用ですが、不得意な領域も存在します。

AIが不得意とする分野は主に次のとおりです。

事例・前例のないアイデア創造

AIは膨大なデータを基にして学習し、既存のパターンやトレンドを予測することに長けています。しかし、まったく新しい発想やクリエイティブなアイデアを生み出すことは難しいです。

例えば、新しい製品の開発やマーケティング戦略の立案には、人間の直感や独創的な思考が不可欠です。AIはデータ分析や既存の知識を活用することは得意ですが、ゼロからの発想は人間のクリエイティブさに頼る必要があります。

複雑な計算

AIは多くの計算を迅速に行うことができますが、複雑で特殊な計算は得意ではありません。特に、高度な数学的問題や、精度が求められる重要な計算では、AIのアルゴリズムが適用しにくい場合があります。

例えば、科学技術分野での高度なシミュレーションや、金融工学におけるリスク管理など、専門的な知識と高度な技術が要求される計算には、人間の専門家が必要です。AIはあくまでもこれらの作業を支援するツールにすぎないので、人間の業務を完全に代替することはできません。

共感や人間心理の理解

AIはデータを基にして合理的な判断を下すことが得意ですが、人間の感情や心理を理解し、共感することはできません。顧客対応や医療、教育など、人間の感情やニーズに対する深い理解が求められる分野では、AIで代替できる業務が限られます。

例えば、顧客クレームの対応や、患者へのカウンセリング、生徒の指導など、共感と人間関係が重要な場面では、AIは補助的な役割しか担えません。人間の感情や細やかなニュアンスを理解し対応する能力は、現時点では人間にしかできない特別な分野です。

倫理的判断と価値観の理解

AIはプログラムされたアルゴリズムに基づいて動作しますが、倫理的な判断や価値観に基づいた意思決定を行うことは苦手です。人間は文化や社会的背景を考慮して判断を下しますが、AIはそのような複雑な要素を理解し適用することはできません。

例えば、企業の倫理的な意思決定や社会的に敏感な問題に対する対応は、依然として人間の判断に頼る必要があります。AIはこれらの場面での補助的なツールとしては有用ですが、完全に代替することはできません。

AIが活用されている領域

AIは多岐にわたる分野でその能力を発揮し、業務効率の向上や新たな価値の創出を行っています。

さまざまな業界の具体的な活用事例を通じて、AIの実用性とその効果について詳しく説明します。

製造業

製造業におけるAIの活用は、製造ラインの解析や不良品検出などに大きな効果を発揮しています。

例えば、製造ラインのデータをセンサーなどで取得し、蓄積したデータと製品の検査結果などをAIで分析することで、最適な設定値を算出することができます。

さらに、画像認識技術を用いて製品の品質検査を自動化し、不良品を迅速に特定することで、人的ミスを削減し、製品の品質を一定に保つことができます。

ほかにも、機器の故障やシステム障害など、特定のインシデントに関するデータをAIにより解析・統合し、レポートの自動生成を行うことも可能です。これにより、情報共有を迅速・正確に行うことができ、メンテナンス業務の省人化に貢献します。
また、将来的には設備の故障予知にも活用できると期待されています。

建設業

建設業では、AIは現場管理や安全性の向上に活用されています。例えば、ドローンを使った現場の空撮データをAIが解析し、施工進捗の管理や土地の測量を効率化しています。

また、AIを活用した画像解析技術により、建設現場での安全監視が行われ、作業者の安全を確保しています。さらに、建物の設計や計画段階でのシミュレーションにもAIが利用されています。

医療

医療分野では、AIが病理画像の解析を行い、病気の早期発見や診断の精度向上に貢献しています。例えば、AIを用いた画像解析により、がん細胞の検出や進行度の評価が迅速かつ正確に行えるようになっています。

さらに、電子カルテなどの患者データを解析することで、個々の患者に最適な治療法の提案に活用することも可能です。これにより、医療現場の効率化と患者の治療効果の向上が期待されています。

農業

農業においても、AIは重要な役割をはたしています。画像解析技術を用いて、ぶどうなどの果実の粒数を適切に判断したり、土壌の状態を解析し、堆肥や散水を適切に行うことで、最適な栽培方法を導き出したりすることができます。

これにより、収穫量の向上や品質管理の精度が高まります。また、気象データの解析による病害虫予測や灌漑管理の自動化なども行われています。

漁業

漁業分野でもAIの導入が進んでいます。気象データや海洋データをAIが解析することで、最適な漁場や漁期を予測し、無駄のない漁業活動が可能になります。

また、AIの画像解析技術により漁獲物の選別や品質管理も進んでおり、より高品質な水産物を市場に提供することができます。

教育業

教育分野では、AIを活用して生徒一人一人の苦手分野や目標に応じたカリキュラム作成に活用することが可能です。例えば、AIで学習データを解析して、生徒の理解度をリアルタイムで評価し、個別に最適な学習プランを作成することができます。

これにより、教師はより効果的な指導を行うことができ、生徒の学習効果を最大化することができます

小売業

小売業では、AIが混雑状態や顧客属性の解析を行い、効率的な店舗運営やマーケティング戦略の立案に活用されています。例えば、店舗内の監視カメラ映像を解析して、顧客の導線や混雑状況を把握し、適切なスタッフ配置や商品のプロモーションを行います。

また、過去の販売データや市場トレンドを分析することで、過剰在庫や品切れを防ぎ、在庫の適正化に役立てています。例えば、世界最大の小売業ウォルマートでは、AIを活用して需要予測を行い、在庫管理の効率化を実現しています。

さらに、顧客の購買履歴を基にしたレコメンドシステムもAIによって実現されており、売上の向上に貢献しています。

ビジネスにおけるAI活用のメリット

AIをビジネスに導入することで、業務効率化や品質向上、顧客満足度の向上など多くのメリットが期待できます。

ビジネスにおける具体的な活用事例とメリットは主に以下のとおりです。

雑務低減による業務効率化

AIにより雑務や細かい計算といった反復的な作業を自動化することで、業務の効率化につながります。例えば、書類のチェック作業やデータ入力などの手間が省けることで、従業員はより重要な業務に集中できるようになります。

具体例として、就職活動の書類選考における業務の一部でAIを活用している企業があります。自社の求める条件にマッチした人材がもつ素質、経験をあらかじめAIにインプットさせ、そこに合致するかを自動で判断させることができる機能を利用しています。

また、AIを活用することで、リアルタイムのデータ分析やレポート作成も自動化され、業務全体の生産性が向上し、効率的な運営が可能となります。

顧客満足度の向上

AIを活用することで、顧客対応の迅速化や個別対応の精度向上に寄与し、顧客満足度を高めることができます。例えば、AIチャットボットを導入することで、24時間対応のカスタマーサポートを実現し、顧客の問い合わせに即時に対応できます。

また、医療分野や飲食業界においては、AIが待ち時間を予測し、患者や顧客に適切な案内を行うことで、受付での待ち時間を大幅に削減し、顧客の満足度を向上させています。さらに受付をAIオペレーションにより効率化することで、受付にかかる人手を別の業務に充てることが可能になり、患者や顧客により良いサービスを提供することに注力できるようになります。

オペレーションコストの削減

AIの導入により、オペレーションコストを大幅に削減することができます。例えば、AIを活用した業務の自動化により、従来人手で行っていた書類のチェック作業などの雑務や細かい計算などの業務を削減できます。

具体例として、富士通フロンテック株式会社では、電子データとしての読み取りが難しかった部品の銘板をAIの画像認識技術で読み取り、専用システムに連携させる試みを行っています。
これにより、これまで目視・手入力で行っていた部品情報の登録作業を効率化し、作業工数を削減できています。
富士通フロンテック株式会社様のAI導入事例について詳しくはこちら

また、株式会社エヌ・ティ・ティエムイーではAIの画像認識技術を活用した工事材料品の持ち出し管理システムを導入することで、紙や手作業で行っていた業務を自動化し、業務効率を大幅に改善しています。
株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー様のAI導入事例について詳しくはこちら

ヒューマンエラー削減による品質向上

製品の製造現場において、AIの活用によりヒューマンエラーを削減し、品質の向上を図ることができます。人間が行う検査やチェック作業には、どうしても「慣れ」や「漏れ」によるミスが発生しがちですが、AIは常に一定の結果を出力し続けることができます。

例えば、製造ラインのデータをAIに学習させることで、通常時のデータと現時点のデータの差異から異常を検知し、早期に対応することができます。これにより、品質管理が強化され、異常発生時も迅速に対応することができます。

その他のAIの活用事例

これまでに紹介した事例以外にも、さまざまな業界でAIの活用が進んでいます。

各業界では、どのようにAIが活用されているのか、詳しく解説していきます。

自動運転技術による清掃の効率化

工場内での清掃作業は、自動運転技術を利用した清掃ロボットにより大幅に効率化されています。これらのロボットは、工場内の設備配置状況を事前に学習し、最適なルートで清掃を行います。

また、人や落下物を検知すると、自動で停止または回避する機能を備えているため、事故や障害のリスクを最小限に抑えることができます。清掃を自動化することで、従業員はその時間を他の重要な業務に充てることが可能になります。

接客業のトレーニング・AI接客

飲食業においても、さまざまな分野でAIの活用が進んでいます。例えば、AIを用いて自店舗に必要な研修をマニュアル・テスト化し、スタッフ教育の効率化に役立てています。

また、画像認識機能を用いた笑顔トレーニングや過去のトラブルを学習させて、トラブル対応のロールプレイを行うなど、スタッフの即戦力化が可能です。さらに、AI自体が接客を行うことで、均一なサービス提供を行う店舗もでてきています。

不正取引の検出・市場の動向分析

AIは取引データをリアルタイムで解析し、不審な取引を検出することが可能です。これにより、詐欺や不正行為を早期に発見し、被害を未然に防ぐことができます。例えば、クレジットカード会社はAIを使って不正使用を検出しています。

また、AIは大量の市場データを分析し、投資のパターンやトレンドを予測することで、投資戦略を最適化します。ヘッジファンドや投資銀行では、AIを利用して市場の動向を予測し、投資判断のひとつとして活用されています。

お客様にあったカリキュラムの提案

フィットネス業界では、AIが個々の体型や状況、目標に応じた料理メニューやトレーニングメニュー、学習メニューの作成をサポートしています。これにより、利用者は自身に最適なプランを実践することができ、効果的なトレーニングが可能となります。

AIの助言を基にしたパーソナライズドトレーニングは、利用者のモチベーションを高め、フィットネスの成果を最大化します。

防犯ドローン・店舗の防犯

防犯業界では、5GやドローンとAIの解析力を組み合わせて、防犯対策が強化されています。例えば、広大な敷地の防犯に防犯ドローンを活用し、異常事態を検知した場合にドローンを現場に急行させ、録画させるなどのシステムが構築されています。

また、防犯カメラの映像解析により、万引きリスクのある行動を検知し、担当者に通知するシステムもAIによって実現されています。これにより、安全性が向上し、犯罪抑止に繋がります。

映像編集の自動化・ディープフェイク技術の活用

AIを利用して映像編集のプロセスを自動化することで、編集時間を大幅に短縮できます。例えば、シーンの切り替えやトランジション、色補正、ノイズ除去などの作業をAIが自動で行います。これにより、編集者は企画や構成などより創造的な作業に集中できるようになります。

また、ディープフェイク技術を利用して、映像内の人物の顔や声を合成することもできます。これにより、過去に撮影された映像に現在の人物を追加したり、映画のシーンを再現する際に俳優を使わずに映像を作成したりすることができます。
ただし、この技術は悪用されるリスクもあるため、倫理的な観点からの利用規制が求められています。

異常気象の検出・気象シミュレーション

天気予報において、AIはデータ解析と予測モデルの改善、気象パターンの認識、高解像度予報の実現、異常気象の予測、気象レポートの自動生成などで活用されています。例えば、AIは膨大な気象データを解析して予報精度を向上させ、豪雨や台風などの異常気象を早期に検出します。

また、高解像度の気象シミュレーションを行い、地域ごとの詳細な予報を提供しています。これにより、生活者への詳細な気象情報の提供や災害対策の強化が実現されています。

効果的な広告の表示

広告業界ではAIを用いたデータ解析により、顧客の行動パターンや興味関心を深く理解し、顧客に応じた効果的な広告の表示が可能となっています。

また、AIがリアルタイムで広告枠を自動的に購入し、最適なタイミングと場所で広告を表示するといった機能も利用されています。

ビジネスの現場で効果的にAIを導入するなら

AIはデータの処理や比較・解析は得意としているものの、仕組みそのものを生み出すことや、明確な指示のない業務、複雑な計算などは不得意です。

業務効率化を目的としてAIを導入する場合、AIの得意・不得意をしっかりと理解したうえで、自社のニーズにあったAIの活用を進めていくことが重要です。
また、設備や環境から収集したデータを分析させるようなAI技術の利用には、ツール選定や導入、他センサーなどとの連携の知識が必要となります。

東京エレクトロンデバイスでは、社内にある情報をAzure OpenAI Serviceに連携して生成AIの活用を試すことができる「Try it! Azure OpenAI Service EXPRESS」をご用意しています。業務効率化や新規事業開発へのAI活用を、まずはPoCから試してみてはいかがでしょうか。

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