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2021/3/26

Writer:安藤 隼人(アンドウ ハヤト)

Custom Visionとは?メリットやIoT向けサービス群での位置づけを解説

通常ディープラーニング、特に教師あり学習による画像解析には、時には数十万?数百万にもなる大量の良質な教師データが必要です。しかし、これからお伝えする「Custom Vision」は、わずか数十枚の画像教師データで、GUIから手軽に画像認識・判定AIモデルを生成できます。またAI知識のない方でも、用途に応じた独自のAIモデルを構築できます。

Custom Visionとは

「Custom Vision」はAzure Cognitive Service(以下、Cognitive Services)の一つで、画像認識に特化したサービスモデルです。利用者はアップした「画像データ」と「ラベル」を基にAI処理を実施し、独自AIモデルを簡単に入手して「画像分類」と「物体検出」に利用できます。AIモデルをエッジデバイスへ搭載し(「エッジコンピューティング」)現場でリアルタイムの判定に利用することもできます。

事前学習を全くせずに利用できる「Computer Vision」もあります。「Computer Vision」は、Microsoftがあらかじめ教師データを学習させたAIモデルを利用するため、より簡易的に利用できますが、独自AIモデルは作成できません。独自AIモデルを作成したい場合は、「Custom Vision」を利用する必要があります。

Cognitive Serviceについては、「Azure Cognitive Servicesとは?AzureのIoT向けサービス群での位置づけやサービス内容を解説」に詳しく記載していますので、ぜひご覧ください。

Custom Visionのメリット

Custom Vision は、Microsoftが準備したAI処理モデルをベースに独自のAIモデルを構築できるため、複数のメリットがあります。一つずつみていきましょう。

数十枚の画像でAI処理モデルを教育

冒頭でも述べましたが、特に昨今で主流となっているディープラーニングをベースとしたAI処理モデルには、構築にあたって「膨大な学習データ」という大きな壁があります。

特に教師あり学習については、数十万~数百万といった量の良質な画像データが必要になります。この良質な画像データの収集やラベル付けといった作業には多くのコストがかかります。

その点Custom Visionは、Microsoft側で用意しているAI処理モデルをベースにしているため、最小5枚からの画像データを取り込むだけでも独自のAIモデルを作成できます。

高性能なAI処理モデルがすぐ利用できる

AI処理モデルの構築には、もう一つ「AI関連の専門知識習得」という大きな壁があります。AIを稼働させるには、AIの専門知識はもちろんのこと、プログラミングや学習を実施するインフラの設計など、幅広い知識が必要になることは言うまでもありません。

しかしCustom Visionならば、Microsoft側で用意しているAI処理モデルをベースに、すぐにAIの学習を開始できるため、AIの知識がなくても利用することができます。

画像認識・判定AIを使用したサービス構築のコストを削減

一般的に画像認識・判定AIを一から構築するには、AIの専門家やアプリケーション構築担当、インフラ設計担当など、多数のスペシャリストが必要です。加えて、膨大な学習データの準備に人員を割くことになるのですが、Custom Visionを使用することで、ここまで記載してきたメリットにより、大幅なコスト削減が可能です。画像検出を気軽に利用できるようになるため、さまざまなサービス立ち上げにチャレンジできるでしょう。

Custom Visionの機能

冒頭で記載した通り、Custom Visionで作成できるAIモデルには大きく分けて「画像分類」と「物体検出」の2種類があります。それぞれの内容についてみていきましょう。

画像分類

画像分類の機能は、読み込んだ画像の物体を判別するような処理で活用します。例えば製造業では、不良品の自動判定に利用可能です。画像に良品もしくは不良品のタグ付けを実施し、Custom Visionに読み込ませることで学習させられます。学習には、1タグあたり画像5枚以上が必要です。

物体検出

物体検出は、画像の中から検出対象の物体を判定します。検出したい電子部品の画像をCustom Visionに学習させておくことで、電子部品の個数や画像内の座標情報を取得できます。学習には、1タグあたり画像15枚以上が必要です。

Custom Visionの導入事例

既にCustom Visionは、さまざまな企業で導入されていて、どの企業も画像認識・判定AIを問題なく構築・運用できています。

映像による建築現場の進捗管理を実現

建設業界では、国土交通省が提言する「i-Construction」と呼ばれるコンセプトのもと、建設現場のICT化を推進しています。i-Constructionの事例としては、例えば、現場のカメラから送付されてくる動画を利用した重機の遠隔操作や、ビーコンによる危険区域へ近づいた際のアラーム発報などが挙げられます。

こうしたICT化の波は、建設現場の進捗管理にも及んでいます。とある建設会社では、「Custom Vision」を利用した画像解析による工事進捗管理システムを構築しました。従来は、ある程度職人の経験と勘に頼らざるを得なかった現場の進捗管理を、定量化することに成功しています。

迅速なシステム構築の秘密は、Custom Vision の「学習の早さ」にありました。その速度は、通常1日かかるようなデータ量でも、1 時間程度で学習を終えられるほど。学習が早く完了することによって、検証に多くの時間を割けたと担当者は語っています。

AIの検出率については70~80%もあれば、進捗の大きなトレンドは把握できます。AIが問題を検出した際に、問題点を探す作業は人間が担うことで、進捗管理工数を削減し、技術者が現場に出向く回数も1日6回だったものを4回に削減できています。また現場の工事が予定通り進んでいないなどの無駄な待機時間も、平均15分~5分程度と大きく短縮できました。

工場における製品の自動判別に活用

Custom Visionで、工場で作成された製品の自動判別ができるようAIモデルを学習させ、業務に利用できます。例えば、製品の良否判定や数量のカウント、梱包作業の不足品や部品の入れ間違いなども検知できるようになるでしょう。Custom Visionは数十枚からの画像でAIモデルを学習させられるので、準備も効率的に実施できます。また、異常状態が判別できるようモデルを作成し自動化することにより、チェック人員を他の業務にシフトできます。エラーが出た際の原因究明に人員を割けば十分です。

東京エレクトロンデバイスでは、上記のような事例で利用できる「画像判定AIソリューション超簡単導入パッケージ」を販売しています。詳しくは「画像判定AIソリューション 超簡単導入パッケージ」をご覧ください。

Custom Visionの料金について

Custom Visionの料金は従量課金で、次の4つの内容で決まります。

  • 学習に使用した画像の枚数(アップロード枚数)
  • トレーニング操作にかかった時間
  • クラウド側での画像データの保管費用
  • AIの実行回数(API呼び出し回数)

しかしながら、そのコストは数百円となることもあります。とある電子部品のチェックを実施するAI処理モデルを1モデル作る際に、画像3千枚を20分で学習させたと仮定すると、AI処理モデル構築時に発生した費用は約1,142円、運用時に発生した画像データ保管費用は約236円/月とリーズナブルです。これだけのコストで済むならば、さまざまなシーンでCustom Visionを試すこともできるでしょう。

Custom Visionの料金についての詳細は、「Cognitive Services の価格 - Custom Vision Service」をご覧ください。

Custom Visionの基本的な使い方について

Custom Visionの使い方は非常に簡単で、画像を準備し、Azure上のサービスでプロジェクトを作り、画像をアップロード後にタグ付けして学習させるだけです。AI処理モデルを構築した後は、簡単なテストもできます。Custom Visonで作成したAIモデルはクラウド上に配置され、専用のURLが割り当てられます。このURLに対し、推論させたい画像データをREST APIで送信すると、推論結果(解析結果)がJSONで戻ってきます。

Custom Visionで柔軟な画像解析を

「Custom Vision」はCognitive Serviceの一つで、画像認識に特化したサービスモデルです。独自の画像データをAI処理し、「画像分類」と「物体検出」を行います。Microsoftが構築した高性能なAI処理モデルがすぐ利用でき、わずか数枚~数十枚の画像で教育が完了します。一からAI処理モデルを構築する場合に比べ、非常に低コストで画像認識・判定AIモデルを生成可能です。

コストも構築費用、月額運用費用ともに数百円からと非常にリーズナブルで利用しやすくなっています。さまざまな場面でぜひCustom Visionを柔軟に活用していきましょう。

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