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2022/05/27

Rewrite:古久保真実

なぜCassia Bluetoothゲートウェイは300mの長距離通信ができるのか?

「Cassiaゲートウェイはなぜ300mの長距離Bluetooth通信が可能なのでしょうか?」というご質問をよく頂きます。

Bluetoothといえば、今や電話、タブレット、ラップトップ、ヘッドホン、スピーカー、テレビ、フィットネスウェアラブルなど、ほとんどすべての主要な消費者製品で使用されていますが、通信距離300mと聞くとどうでしょうか。

300mといえば、有名な建物だと大阪市にある日本一の超高層ビル「あべのハルカス」が高さ300メートル(地上60階)です。また、少し高いですが、東京タワーが333mなので、イメージとしては地上に携帯電話を忘れてしまったけど、あべのハルカスの屋上でもBluetoothヘッドホンで音楽を聴けるイメージでしょうか。通常の携帯電話であればありえない想定ですよね。
では、なぜCassiaゲートウェイならBluetoothで長距離通信が可能なのか?今回はこの疑問に答えるために、Bluetoothのテクノロジーからひも解いてお伝えしていきたいと思います。

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1. Bluetoothテクノロジーのウソ?ホント?

上述のとおりBluetoothテクノロジーは、今やほとんどすべての主要な消費者製品で使用されています。
ところが、身近で広く使用されているにもかかわらず、Bluetoothテクノロジーについてはまだいくつかの神話(誤解)が残っています。
これらの神話のいくつかとBluetoothに関する事実を調べてみましょう。

神話1:Bluetoothテクノロジーは消費者向け製品にのみ使用されている?

まず、「Bluetoothは消費者専用のテクノロジーでしょ?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、実際にはBluetoothテクノロジーは、産業用IoT、デジタルヘルス、スマートシティ、勤怠管理システムおよび資産追跡など、さまざまなビジネスシーンのIoTアプリケーションに使用されています。
世界中の開発者は、大規模なIoTを展開する際にBluetoothテクノロジーが提供する途方もない価値を評価していることになります。
市場に出回っているBluetooth対応デバイスの数は非常に多く(※1)、Bluetooth互換アプリケーションのプログラミングが容易なため、今日企業がIoTソリューションを実装する上で非常に重要なテクノロジーとなっているのです。

※1:2021年Bluetoothデバイスの年間総出荷数45億台(Bluetooth SIG発表)

神話2:Bluetoothは短距離でのみ機能する?

ヘッドホンなど主要な消費者製品での利用では距離が離れると通信ができないイメージがあるかもしれません。

しかし実は、Bluetoothテクノロジーはデバイス間での長距離通信をサポートするように設計されているのです。
Bluetoothデバイス間の通信は、Power Classという電波強度の強さにより3つのクラスに分類され通信範囲は広範囲です。通信範囲を使い分けることで、開発者が独自のユースケースを満たすソリューション開発をする際、大幅に柔軟性が向上します。
ただし、無線スペクトル、送信電力、アンテナゲインなど、信頼性の高いBluetoothの長距離通信を満たすには、いくつかの要因が影響する可能性があるため、Bluetoothの通信距離を決定する際にはこれらの要因を考慮する必要があります。

神話3:BluetoothがWi-Fiに干渉する?

Bluetoothは、Wi-Fiやその他のワイヤレス技術と同様に、2.4GHzの無線周波数を使用してデータを送受信します。このため、BluetoothがWi-Fiに干渉すると思っている方もいるかもしれません。
実は、Bluetoothでは2つのデバイスが接続されている場合、Adaptive Frequency Hopping(AFH)を使用して、他のデバイスとの干渉の影響を最小限に抑えるよう設計されています。
AFHとは、信号はある周波数から別の周波数にすばやく「ホップ」して、その帯域を使用しようとしている他のデバイスによって中断されないようにする仕組みです。
このため、他のワイヤレス接続はBluetoothが使用しているのと同じ周波数を使用した場合でも、AFHにより速度と安定性を低下させることなく接続を継続できるのです。

まとめると、上述した神話は存在しますが、誤解であることも多いのです。Bluetoothテクノロジーが消費者向けアプリケーションだけでなく、IoTプロジェクトを拡張するための低コストのワイヤレスソリューションを探す企業にも最適であるという真の価値を理解することが重要です。

2. 電波の減衰

次に、Bluetoothの長距離接続を考える上で、通信距離により電波の減衰がどのようになるのか、という観点で考えてみましょう。
電波の減衰は距離の2乗に比例し、波長の2乗に反比例(周波数の2乗に比例)することが知られています。おおざっぱに言ってしまえば距離が2倍になれば電波は1/4になり、波長が長ければ届く距離も長くなるという意味ですので、建物などの障害物がない理想の空間(自遊空間)であれば、1mW(0dBm)の送信出力で送出された電波は減衰はしますが、300m以上の距離でも到達が可能なのです。
(以下周波数2.4GHzの電波の距離減衰グラフ参照)

しかし、一般的な受信機の受信感度では減衰した信号を受信しても、送信された情報を正確にピックアップすることができません。

また、現実の世界では周りの環境に存在する遮蔽物の影響やノイズ等により、更に信号が減衰して電波が受信機側に到達することになり、通信できる距離は短くなります。

3. Cassia Bluetoothゲートウェイの無線技術

上述の通り、Bluetoothテクノロジー自体で300mの通信は可能ながら、一般的な受信感度では現実的に難しいとお伝えしました。それらを踏まえて、Cassia Bluetoothゲートウェイの無線技術についてお伝えします。

Bluetooth通信範囲の拡張は通常、無線周波数(RF)送信の両側で送信電力またはアンテナゲインを増やすか、「メッシュ」トポロジでセンサーを接続することによって追求されます。

ただし、範囲拡張へのこれらのアプローチは、低電力、データスループット、低コストのエンドデバイスなど、Bluetoothの基本的な設計上の利点を損ないます。

それに対し、Cassia BluetoothゲートウェイはBluetoothに特化した以下の3つの技術により、受信能力を高めながらもBluetoothの設計上の利点を損なうことなく、弱い電波信号であっても安定して信号をピックアップできることが大きな特徴です。

  1. 優れたアンテナ設計技術
  2. 感度利得の向上技術
  3. ノイズフィルタリング技術

1. Bluetooth信号とWi-Fi信号の干渉を軽減し、また、Bluetooth信号を適切に送受信できるようアンテナが設計、配置されています。

2. 受信した信号の強度から最適なアンテナ構成を選択することでアンテナ利得を向上させています。

3. ノイズフィルタリング技術により他のBluetoothデバイスやBluetooth以外の無線信号ノイズを除去し受信感度を高めています。

特に、「2.感度利得の向上」と「3.ノイズフィルタリング」は、Cassia社が取得している長距離Bluetooth特許の要の技術となります。つまり、Cassiaゲートウェイは優れたアンテナ設計で受信感度が非常に優れているため、 Bluetoothの利点を損なうことなく300m通信※が可能となるのです。

詳細は以下サイトをご覧ください。

[長距離Bluetooth特許技術について]
https://www.cassianetworks.com/blog/cassia-networks-expands-long-range-bluetooth-patent-portfolio-builds-on-bluetooth-iot-momentum/

※現在弊社で販売しているCassiaBluetoothゲートウェイ製品(X2000、E1000、S2000)の受信感度は-105dBmとなっています。

[製品紹介ページはこちら]

Cassia Bluetoothゲートウェイ

https://esg.teldevice.co.jp/iot/azure/solution/detail_cassiagateway.html

4. 実証実験結果

上記で説明したCassia Bluetoothゲートウェイの優れた技術で、自遊空間に近しい実環境(近辺に2.4GHz帯の電波発信源がない、障害物がないなど)においては300mの長距離通信が実現できます。

こちらを検証するために、弊社で実証実験を行いました。

簡単に内容をまとめると下記になります

実証実験環境:周りに障害物や電波干渉がない場所

実証結果:300m以上離れた距離でのBluetooth通信できることを確認しました

実際の検証の様子は、+CP-TechWEB+に公開していますので、ご登録後にぜひ一読ください。

ただし、オフィスや工場環境といった自遊空間から程遠い環境においては、残念ながら通信距離300mは実現が難しいのが現状です。しかし、一般的なゲートウェイやスマートフォンなどと比較すると長距離のBluetooth通信が可能となります。

[関連ページ]

●Cassia Bluetoothゲートウェイ

https://esg.teldevice.co.jp/iot/azure/solution/detail_cassiagateway.html

●IoT BLE Ready ソリューション

https://esg.teldevice.co.jp/iot/azure/solution/detail_iotbleready.html

●Cassia ロケーショニングキット

https://esg.teldevice.co.jp/iot/azure/solution/detail_cassialocation.html

●Cassia 食品温度モニタリングキット

https://esg.teldevice.co.jp/iot/azure/solution/detail_cassiafoodmonitoring.html

ネクストステップにおすすめ

5GやBluetoothはIoTにどのように利用されるのかを、工場でBLEを利用したユースケースなどを用いて紹介しています。

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