Azure導入事例 東京電力パワーグリッド株式会社 様
電力の安定供給に欠かせない送配電網のメンテナンス
AI活用で目視確認のコストを50%以上削減
東京電力パワーグリッド株式会社(以下東電PG社)では、これまで架空送電線の点検を行うにあたり、ヘリコプターで空撮した映像を作業員が一つ一つ確認していました。目視による点検は膨大な労力を要するだけでなく、ヒューマンエラーにより異常を見落としてしまう危険性もあります。
東電PG社ではこれらの課題に対し、保全技術の高度化と業務のスリム化によって「電力の安定供給」と「託送コストの低減」をめざすべく、AIを活用した架空送電線画像診断システムを導入しました。テクノスデータサイエンスエンジニアリング株式会社(以下TDSE社)が開発した同システムにより、これまで点検作業に要していた時間の50%以上が削減できる見込みです。
また東電PG社は今後、運用上で蓄積した映像を学習データとして、AI ロジックの精度をより高めることで、点検時間を 80% 以上削減することをめざしています。
これまでの課題
- 目視で確認するため、点検に膨大な作業時間が必要。(のべ1,330時間 - 2016年度実績)
- 長時間作業の疲労や集中力低下により、異常を見落とす懸念があった
IoTによって得られた効果
- 映像点検にかかっていた時間を 50%以上も削減
- 目視による作業を極小化することで、疲労による見落としを防止
- 会社名
- 東京電力パワーグリッド株式会社
- 設立年月日
- 2015年4月1日
- 主な事業内容
- 一般送配電事業、不動産賃貸事業及び離島における発電事業
- 資本金
- 800億円
AIを活用することで、「点検作業の効率化」と「点検基準の平準化」を両立
映像確認による点検は、保守作業員が腐食や素線切れといった異常が無いかを目視によって確かめる必要があるため、膨大な時間がかかります。そのため点検作業の所要時間は2016年度実績で、のべ 1,330 時間にも達していました。また作業は熟練した作業員が担当するものの、同じような映像を長時間見続けることによる疲れ目や集中力の低下によって、異常を見逃す恐れもありました。
TDSE社の診断システムは画像データから異常/正常を判定するDeep Learningモデルによって、不良と思われる個所のタグ付けを自動的に行います。明らかな異常値/正常値はシステムが自動的に判断し、グレーゾーン判定された部分だけを人間の目視に委ねることで判定の精度を高めています。
点検作業の一部をシステムが担うことにより、作業の効率化だけでなく、点検基準のゆらぎを少なくすることに成功しました。
導入したサービス/機器
IoTデータ活用支援サービス
- 1集めたデータを価値ある情報へ変換
IoTを通じて得られた様々なデータを、業務効率を向上させる適切な作業指示や価値ある情報へリアルタイムに変換するエンジンです。 - 2より高い精度の機械学習をビジネスに活用
Deep Learning とは、従来よりも多くの層を持ったニューラルネットを用いる機械学習のアルゴリズムです。従来は研究者が手で設定していた特徴抽出を、代わりに大量のデータから学習させ自己組織化させるアプローチ方法です。画像処理や音声データや時系列データなどでも高い性能を発揮することが示されています。
導入システム概要
導入システム構成
架空送電線画像診断システムのシステム構成。ストレージ、DBMS、WebアプリケーションなどにPaaSを利用することで、サービス実装に要するリードタイムを最小化している
架空送電線AI画像診断システム(イメージ)
映像内でエラーが発生した時間(左下)とエラーの個所(右上)が可視化される
CSPパートナー
- 会社名
- テクノスデータサイエンス・エンジニアリング株式会社
- 設立年月日
- 2013年10月17日
- 主な事業内容
- ビッグデータ・人工知能(AI)を活用したソリューション提供およびAI製品(AIモジュールを含む)の提供