Microsoft Azureコラム

  1. Microsoft Azure TOP
  2. Microsoft Azureコラム
  3. GitHub Copilot Businessとは?チーム開発を加速するAIアシスタントの機能と活用法
2025/5/7

Writer:手戸 蒼唯(てど あおい)

GitHub Copilot Businessとは?チーム開発を加速するAIアシスタントの機能と活用法

GitHubが提供するAI駆動のコード補完ツール「GitHub Copilot」の企業向けプラン「GitHub Copilot Business」は、個人向け機能をベースに、チーム管理機能やセキュリティ対策を強化した新しい開発支援ツールです。
AIによるコード補完機能に加え、柔軟なポリシー設定やデータプライバシーの保護など、企業での利用に最適化された機能を提供します。
本記事では、GitHub Copilot Businessの主要機能や料金プラン、他のプランとの違いを詳しく解説し、実践的な活用シーンまでご紹介します。
開発チームの生産性向上とセキュアな開発環境の構築にお役立てください。
また、東京エレクトロンデバイスはGitHub Copilotの企業導入をサポートしています。
お気軽にお問い合わせください。

ネクストステップにおすすめ

製造業におけるデータ活用の課題、新しいデータ活用基盤の求められる要件や導入ステップを解説します。

AIとビッグデータで未来を創る
						製造業のための次世代データ活用基盤
						
						e-Bookダウンロード

GitHub Copilot Businessとは

GitHub Copilot Business Concept

GitHub Copilot Businessは、GitHubが提供するAI駆動のコード補完ツール「GitHub Copilot」を、チームや企業向けに拡張したプランです。

本記事ではGitHub Copilot Businessについて詳細に解説しています。

GitHub Copilotの使い方については以下の関連記事をご覧ください。

【関連記事】

GitHub Copilotとは?AIペアプログラミングで開発効率を高める機能と使い方を解説

個人開発者向けの機能をベースに、チーム管理機能やセキュリティ対策、データプライバシーの強化を追加することで、チームでの使いやすさやデータの安全性が強化されています。

このプランには、AIがコードの記述をサポートするだけでなく、チーム全体の連携を円滑に進める仕組みが整っているので、小規模なプロジェクトから大規模な開発チームに至るまで、幅広い規模の開発ニーズに対応することができます。

GitHub Copilot Businessの主要機能

GitHub Copilot Business Features

このセクションでは、GitHub Copilot Businessの主要機能についてご説明します。

GitHub Copilot Businessは、開発効率を高めるだけでなく、セキュリティや管理面のサポートを強化する機能が充実しています。

セキュリティとプライバシーの強化

GitHub Copilot Businessでは、企業が安心して利用できるよう、ユーザーが入力したコードやデータは以下のように保護されています。

  • デフォルトでトレーニングから除外
    ユーザーが入力したデータ(コードなど)はデフォルトでAIの学習に使用されることはありません。
  • パブリックコードに一致する提案をブロック(Public code filter with code referencing)
    公開されているコード(パブリックコード)に一致する提案がユーザーに対してされないようにブロックする機能(Public code filter with code referencing)を利用できます。
    GitHub Copilotが提案するコードがオープンソースのコードに似ている非常に似ている場合、ユーザーがそのまま提案されたコードを使用すると、ライセンス違反や著作権問題に発展する可能性があります。
    特に商用プロジェクトで使用する場合は、こうしたリスクを回避するパブリックコード提案のブロック機能は大変重要なものです。
    機能詳細や利用方法については、こちらの記事をご覧ください。
    GitHub Copilotと著作権:企業がおさえるべきリスクと具体的な対策
  • SAML SSO認証
    シングルサインオン(SSO)をサポートしており、SAML認証が利用可能です。
    組織のID管理システムと統合できるので、ユーザーの認証を効率的かつ安全に管理することができます。
  • 監査ログ
    管理者は、GitHub Copilot Businessの使用状況を監査ログで確認することができます。
    どのメンバーがどのようにツールを使用しているかを追跡することが可能なので、企業のコンプライアンス対策にも資する機能です。
  • テレメトリデータの送信を行わない
    テレメトリ(Telemetry)とは、「システムやアプリケーションの使用状況やパフォーマンスに関するデータを収集して、開発者や運営者に送信する技術」です。
    GitHub Copilot Businessでは、テレメトリがGitHub側に送信されない仕組みになっています。
    そのため、ユーザーがどのようにコーディングしているか、どの機能を使っているかといった情報がGitHub側に送信されないので、プライバシーを守ることができます。

チーム向け管理機能

GitHub Copilot Businessは、組織全体での利用を考慮し、以下のような柔軟な管理機能が備わっています。

  • ポリシー設定
    組織ごとの利用ポリシーを柔軟にカスタマイズできます。
    例えば、特定のチームやプロジェクトだけでCopilotを利用できるように設定することが可能です。
  • ユーザー管理機能
    チームメンバーの利用状況を一元管理し、必要に応じてアクセス権限を変更することができます。そのため新規メンバーの追加や特定メンバーの利用停止を即座に実行可能です。
  • 補完対象の制限
    セキュリティ上の理由から、特定のディレクトリやファイルをAI補完の対象外に設定することもできます。機密性の高いコードやデータを含むフォルダを補完対象から除外することで、誤ってデータが送信されるリスクを回避するのに役に立つ機能です。

他のGitHub Copilotプランとの比較

GitHub Copilotの料金体系は、個人向けと企業向けの2種類にわかれています。

個人向けプランには無料プラン(Free)とCopilot Proの2つが、企業向けプランにはCopilot BusinessとCopilot Enterpriseの2つが用意されており、それぞれのニーズに合わせて最適なプランを選択できるようになっています。

※本記事に記載されているGitHubのプランに関する情報は、2025年1月時点の内容です。最新の情報についてはGitHubの公式ページで確認してください。

GitHub Copilot Plans
GitHub Copilotプランイメージ(参考:GitHub

それぞれのプランの主な特徴の違いについて紹介します。

  • 無料プラン
    GitHub Copilotの無料プランでは、月間の利用制限として以下の範囲内でサービスを活用できます。
    • コード補完機能は月間2,000件まで利用可能
    • Copilotチャットは月間50件までメッセージを送信可能
    • 利用できるAIモデルはGPT-4とClaude 3.5 Sonnet
  • 有料プラン
    有料プランの特徴比較は以下の通りです(一部抜粋)。
機能 Pro Business Enterprise
対象ユーザー 無制限アクセスを希望する開発者向け 中小規模チーム 完全にカスタマイズされたGitHub Copilotを希望する組織向け
コード補完機能
チャット機能
組織のデータをチャットに添付する × ×
コーディングガイドラインの設定 × ×
ユーザー管理機能 ×
エンタープライズグレードのセキュリティ ×
SAMLシングルサインオン(SSO) ×
IP補償 ×
GitHub Enterprise Cloudが必要 × ×
料金 月額10ドル 月額19ドル 月額39ドル

個人向けプラン(Pro)との違い

個人向けプラン(Pro)は、個人開発者向けにシンプルでコストを抑えたプランです。

GitHub Copilot Businessとの主な違いは以下の通りです。

  • チーム管理機能
    Businessプランでは、ポリシー設定やアクセス管理が可能で、チーム全体で効率的に利用することができます。例えば、特定のメンバーだけに機能を提供したり、チーム全員で統一されたルールを適用したりできます。
    一方、Copilot Proにはそのようなチーム管理機能はありません。
  • データプライバシーの強化
    Businessプランでは、ユーザーが入力したデータがAIモデルの改善に使用されることはありません。
    一方で、個人向けプランでは、一部のデータがモデル改善に利用される場合があります。

エンタープライズ(Enterprise)プランとの違い

GitHub Copilot Enterpriseでは、Businessプランの機能に加え、以下の機能が追加されています。

  • 組織のコードベースのインデックス化
    Enterpriseプランでは、Copilotは、組織内で使用されているソースコードを一度取り込み、インデックス(索引)を作成します。
    これにより、Copilotは単にコードのパターンを学習するだけでなく、特定のプロジェクトやリポジトリでよく使用される関数、変数名、モジュールを優先的に認識することができます。
  • 組織のナレッジベースに基づく回答
    組織内のドキュメントやリポジトリを活用して、Copilotが質問への回答を提供します。
  • ファインチューニングモデル(アドオン)
    GitHub Copilot Enterpriseでは、組織専用のAIモデルを微調整して、組織のコードスタイルやベストプラクティスに合わせたコード補完を提供することができます。一方、Businessプランでは、カスタマイズ機能は提供されず、標準的なコード補完機能にとどまります。

【関連記事】

GitHub Copilot Enterpriseとは?組織全体でのAI活用と管理機能について解説

以上のように、GitHub Copilotには複数のプランがあり、それぞれ機能や特徴が異なります。

企業や法人での利用を検討されている場合、セキュリティ強化、チーム管理機能、そして組織のナレッジを活用したより高度な機能を提供する、GitHub Copilot BusinessまたはEnterpriseプランのご利用を推奨します。

特に、大規模な組織や厳格なセキュリティ要件を持つ組織においては、Enterpriseプランが最適です。

東京エレクトロンデバイスはGitHub Copilotの企業導入をサポートしています。

お気軽にお問い合わせください。

GitHub Copilot Businessの料金体系

料金プランの概要は以下のとおりです。

  • 月額料金: ユーザーあたり$19
  • 契約形態: 月単位での契約となり、使用人数に応じて毎月課金されます。
  • 支払い方法: クレジットカードやAzureサブスクリプションを接続することで従量課金での支払いも可能です。

【関連記事】

GitHub料金のAzure支払いとは?対応サービスや設定手順、コスト管理ついて解説

※本記事に記載されている料金は、2024年12月時点の情報です。変動する可能性があるため、最新の情報についてはGitHubの公式ページで確認してください。

GitHub Copilot Businessのユースケース

GitHub Copilot Businessは、チームや企業が直面する具体的な課題を解決するために設計されています。

ここでは、現実的な利用シーンを挙げてどのようにGitHub Copilot Businessが役立つかをご紹介します。

チーム全体での効率的なコーディング環境の実現

例:中規模のWeb開発チームで、メンバー間でコーディングスタイルが統一されておらず、レビュー時に手戻りが多発しているケース

GitHub Copilot Businessの「ポリシー設定機能」を活用すると、プロジェクト全体で統一ルールを適用することが可能です。

AIが提案するコード補完や修正案が、プロジェクトで定めたコーディングスタイルに準拠するようになります。

その結果、メンバー間でのコードスタイルのばらつきが減少し、コードレビュー時の手戻りが大幅に減ることが期待できます。

セキュリティ意識の高い企業での安全なコード生成

例:セキュリティソリューションを開発する企業で、プロジェクト内で機密データを扱うことが多く、情報漏洩のリスクが大きな懸念事項となっているケース

GitHub Copilot Businessには入力データがAIモデルのトレーニングや改善に利用されない仕組みが標準装備されているため、機密情報が外部に送信されることなく、安全にAIによる補完機能を利用することができるようになります。

さらに、補完対象外ディレクトリの設定を活用し、機密情報を含むファイルへのAI補完を制限することも可能です。

そのため機密データが外部に漏れるリスクを回避し、安心してコード補完を利用できる環境が整うでしょう。

グローバルチームでのリソース管理

例:多国籍企業で、異なるタイムゾーンに分かれたリモートチームが複数のプロジェクトを進めている。メンバーの作業状況やCopilotの利用状況を把握するのが困難なケース

GitHub Copilot Businessの管理機能を活用すれば、各メンバーのCopilot利用状況をリアルタイムで確認することが可能となります。すると、利用率が低いメンバーには追加のトレーニングを実施することができるので、各メンバーの活用状況を適切に管理し、チームリソースを効率的に配分することができるようになるでしょう。

チームでの安全なコラボレーション

例:ゲーム開発会社では、プロジェクトの進行中にメンバー間でどこまでコードを共有するかが問題となっているケース

GitHub Copilot Businessのアクセス管理機能を導入することによって、特定のメンバーのみがコードを閲覧・編集できるようにアクセス権限を設定することができるようになります。

そのためプロジェクトの機密性を保ちながら、必要なメンバー間での安全かつ効率的なコラボレーションが実現できるようになるでしょう。

まとめ

本記事ではGitHub Copilot Businessの概要・機能・プラン比較・料金・活用場面についてご紹介しました。

GitHub Copilotは、AIを活用したコーディングアシスタントとして、開発チームの生産性を大幅に向上させるツールです。コード補完や多言語サポートにより、開発者は繰り返し作業の負担を軽減し、効率的にコーディングを進めることができます。

さらにGitHub Copilot Businessプランでは、そうしたGitHub Copilotの機能に加えてチームや組織での利用に最適化されています。データプライバシーを重視した設計や柔軟なポリシー管理機能により、特に中小規模の開発チームが効率的かつ安全にツールを活用できるようになっています。

ぜひGitHub Copilot Businessを導入して、チーム全体でより効率的で安全な開発環境を構築してみてください。きっと、作業の効率化と高品質なプロジェクト成果を実現できるでしょう。

また、東京エレクトロンデバイスはGitHub Copilotの企業導入をサポートしています。

導入をご検討中の企業様は、どのような疑問やご相談でもお気軽にお問い合わせください。

この記事が皆様にとって有益であれば幸いです。

ネクストステップにおすすめ

製造業におけるデータ活用の課題、新しいデータ活用基盤の求められる要件や導入ステップを解説します。

AIとビッグデータで未来を創る
						製造業のための次世代データ活用基盤
						
						e-Bookダウンロード